「名選手必ずしも名監督ならず」
チームが不振になると、メディアはそのチームの「有名選手=レジェンド」の名前を出して次期監督と騒ぎ立てるが、指導者としての適性も考えずに、ただただ名前が知られているからというだけで「候補だ」というのは、そろそろやめにしてはどうか。
この度の西武の監督交代でも、選手時代の下積みが長かったが選手指導に定評のある平石洋介ヘッドコーチ(通算37安打、オールスター出場0回)ではなく、西武のエースだった渡辺GMが再任された。
「名選手必ずしも名監督ならず」という言い古された言葉の通り、選手としての才能と指導者、監督としての能力はまったく別個のものだ。
今は、目上のいうことを「はい!」と言ってそのまま従うような選手は少ない。「なぜそうなのか」を自分で理解し、納得してからでないと動かない選手が多い。
そういう選手を指導するには、指導論も技術論も学んだうえで、どうすればいいのかを日夜考えている「プロの指導者」が必要なのだ。
元ソフトバンクの工藤公康、現ロッテの吉井理人など引退後、大学院でコーチング論を学ぶ指導者もでてきている。そうした人材が、経験を蓄え、マネジメント能力がある指導者としてチームを率いるような例が増えれば、野球選手だけでなく、野球指導者にとってもプロがお手本、目標になってくるだろう。
プロ野球が「俺についてこい」的な昭和風の指導者ではなく、選手を伸ばし、活かす本当のプロの指揮官の活躍の場になれば、日本野球の意識変革はさらに進むだろう。