「日本は、過去に前例が無いほど多くの支援をしてくれています」

これまでに日本から膨大な支援をいただいてきました。そのため、これ以上のサポートをお願いするのは正直なところ申し訳ない気持ちです。

ですが政府への財政的な支援、避難者への生活支援、ウクライナ東部地域への支援ニーズも依然としてまだ高い状況が続いています。そして戦況はまだまだ終わりが見えない状況で、インフラなども毎日破壊され、人々が亡くなっているのです。

国際社会にこれまで存在した基本的な外交ルールや本質がこの戦争がきっかけとなり、大きく変わりました。日本との友好関係強化は、本当は戦時ではなく、平時(戦争が起きる前)からできれば良かったですが……。

これまでのウクライナに対する日本の支援に、とても感謝しています。遠く離れた国・ウクライナに、日本は前例が無いほどの多くの支援をしてくれています。そして今回の戦争によってできた絆が、将来両国の発展につながることを願っています。

例えば経済や復興の分野だけではなく、文化や教育などのさまざまな分野で人々の交流がさらに活発になることを期待しています。もしこれからもウクライナを支援してくださる方がいるようでしたら、大使館の寄付用口座やNGO、NPOなどの慈善団体へのご支援をよろしくお願いしたいと思います。

大使館にはウクライナを応援するメッセージが書かれた色紙などが並べられていた
写真=小峯弘四郎
大使館にはウクライナを応援するメッセージが書かれた色紙などが並べられていた

人の命を守るための防空システムが必要

もうひとつ日本の皆さんにお伝えしたい非常に重要なメッセージがあります。それは、ウクライナ軍への支援です。

日本国内には他国へ軍事支援をすることに異論があるのを承知していますし、心からに理解をしています。しかし、ここで強調させていただきたいのは、この戦争は歴史上最も多くのミサイルやドローンが使用されているということです。ドローンが本格的に使用された初めての戦争なのです。

ウクライナは毎日、ロシアからのミサイルやドローンによる攻撃を受けています。空からの攻撃を防ぎ、ウクライナを防衛するためにはパトリオットのような防空システムが必要です。ウクライナには人の命を奪うものではなく、人の命を守るための防空システムが必要なのです。

防空システムを数年で開発することは不可能であり、今のウクライナでは製造することはできません。日本の皆さまにお願いしたいのは、市民を守るためのウクライナ軍への支援です。言葉を言い換えれば、これは軍事支援ではなく、人道的な支援だと考えています。

「ロシアに負けないで下さい」と書かれた一万円札
写真=小峯弘四郎
「ロシアに負けないで下さい」と書かれた一万円札