オーダーミスが減って提供時間も短縮できる
口頭でのオーダーは、客からサービススタッフ、サービススタッフからキッチンスタッフへと伝達されるが、その過程で伝え間違いが発生する余地はかなりある。客側の言い間違い、サービススタッフの聞き間違いや伝票への書き間違い、キッチン側の読み間違い等々、ミスはどこかで発生し得る。
モバイルオーダーであればこうしたことが防げる。客が間違えたメニューをタップしてしまったり数量を誤ったりといった可能性は残るが、確認画面も存在しており、口頭に比べればオーダーミスの発生率ははるかに低い。
提供にかかる時間も短縮できる。客がスタッフを呼んで口頭でオーダーを告げ、サービススタッフがキッチンスタッフに伝えるまでには数分を要するものだ。モバイルオーダーであれば、客からキッチンへオーダーが“直送”されるので、タイムロスが削減される。
客がスタッフをつかまえられずにオーダーを諦めることがなくなるので、注文機会の損失を防げるのも大きい。気楽にオーダーできるので注文が増えて客単価も上がる。
メニューの変更も容易だ。紙のメニューであれば作り直すのはコストがかかるが、モバイルオーダーなら管理画面で修正すればよく、フレキシブルにメニューを変更できる。
卓上据付型の専用端末機に比べ、導入コストや維持コストが抑えられるのも助かるところだ。LINEと連携していればプロモーションを送れたり、POSシステムや顧客管理システムと連動していれば経営やマーケティングにつなげられたりもする。中小企業・小規模事業者などを対象としたIT導入補助金が支給されるケースもある。
焼肉や焼鳥はモバイルオーダーに向いている
こう書くと良いことずくめのようだが、あらゆる店がメリットを享受できるわけではない。モバイルオーダーの導入には向いている飲食店と向いていない飲食店がある。
最も向いている業態は、カウンターでオーダーと受け取り、支払いを行うタイプのファストフードやカフェだ。テイクアウトであればなおさらマッチする。
大箱のレストランも相性がいい。通常、飲食店では1人のサービススタッフが4テーブル程度を担当するが、80席を超えるような大型店舗ではホールスタッフだけで5人も必要となる。モバイルオーダーによってオーダー業務だけでもなくせれば、必要な人手の数を2割から3割は減らせる。
大型店舗でなくても焼肉や焼鳥のように注文点数が多い業態、つまりスタッフの仕事におけるオーダー業務の割合が高い飲食店では有用だ。あるいは店内が細長かったり席がセミプライベートな造りになっていたり、個室が多いなど、スタッフを呼びづらい構造の店も導入の効果が出やすいだろう。