なぜソイプロテインは飲んでもよいのか

忙しくて食事できない人やダイエット目的で食事を制限している人などは、「適度な量をプロテインで摂取するのならいい」と考えるかもしれません。

しかし、その考えも危険です。タンパク質源である肉や魚は、胃で消化されるまでに4〜5時間を要します。食事でアミノ酸が過剰に生成されても、ろ過されます。

対して、人工的につくられたプロテイン食品・飲料は胃から小腸に進んで素早く吸収されるため、腎臓に急激な負荷をかけます。同じタンパク質の含有量でも、肉や魚ではなくプロテインで摂取すると腎臓によくないのです。

タンパク質は肉や魚、豆腐など、普通の食事で摂ることが鉄則です。タンパク質の摂取が気休めになるなら、夕食に冷奴でも足せばよいでしょう。

過剰摂取で腎機能低下を引き起こす原因は動物性タンパク質である一方、イソフラボンやファイトケミカルといった成分が含まれる大豆は腎機能にいいという研究が報告されています。食事を摂れず、どうしてもプロテインで補いたい場合は、ソイプロテインなど植物性のものを選びましょう。

腎臓の健康状態は300円で検査できる

プロテインを常飲している、あるいはタンパク質を摂りすぎている疑いのある人は、腎臓の状態を一度しっかりチェックしてください。自分はこれまで健康診断で異常が出たことがないから大丈夫だと、油断してはいけません。

一般的な健康診断では、腎臓の状態を「血清クレアチニン値」で判断しますが、この検査はあまり役に立ちません。正常値を超えていたときには手遅れであり、たいていの人が2年以内に透析になります。腎臓病の早期発見に適さない指標なのです。

ただ、血清クレアチニン値から「eGFR」を計算すれば、腎臓の状態がもう少し詳しくわかります。eGFRは、慢性腎臓病かどうかの定義に使われる「GFR(糸球体ろ過量)」を「estimated(推算)」で出した数値です。計算式は省きますが、eGFRを計算すると、血清クレアチニン値が正常値でも、腎機能は低下していて慢性腎臓病まであと一歩だと判明するケースがあります。計算は手間がかかりますが、日本腎臓学会のHPに早見表が載っています。健康診断で血清クレアチニン値は検査したもののGFRを調べていない人は、早見表で確認してください。

健康診断では「尿タンパク」を調べることもあります。血液にはタンパク質が含まれますが、健康なら血液中のタンパク質が尿に出ることはありません。しかし腎機能が落ちると、タンパク質が尿中に漏れ出します。その量によって尿タンパクは4段階で表示されますが、「+」はすでに腎臓が悪くなっている状態。これも早期発見に向かない指標ですが、血清クレアチニン値よりはまだ頼りになります。

【図表】腎臓病を防ぐ3つの習慣

もっとも頼りになるのは「尿アルブミン検査」です。アルブミンはタンパク質の一種で、血液中のタンパク質の60〜70%を占めています。尿中のアルブミンの濃度を調べると、腎機能がもっとも正確にわかります。

尿アルブミン検査は健康保険が適用され、1回300円前後で検査できます。しかし、残念ながら糖尿病専門医ですら多くはこの検査を知りません。まずは自分から尿アルブミン検査を受けたいと申し出て、怪訝けげんな反応をしない医師のいるクリニックを見つけることが大切です。