売れる営業マンは何をしているか。エグゼクティブコーチの鈴木義幸さんは「トップ営業マンはものすごく腰が低く、アクノレッジメントが『生き方』になっているという感さえある。私が教えを乞いに行ったある外資系営業マンはちっとも売らず、相手の話をよく聞き、相手が今興味があることや、関心のあることを自分の中にインプットしておいて、折に触れその情報を提供してあげていた。何気ない話の中で出てきた何気ないことを彼が真剣にすくいあげてくれることに、多くの人は感動する」という――。
※本稿は、鈴木義幸『「承認(アクノレッジ)」が人を動かす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
トップ営業マンが教えてくれたこと
「トップ営業マン」と呼ばれる人に何人も会ってきました。
証券会社で、北海道にこの人ありと言われている人。大手の複写機メーカーで10期連続で営業目標を達成している人。情報通信の会社で、新規開拓をさせたらこの人の右に出る者はいないと言われている人。年収で1億円近く稼ぐ生保の営業マン……。
こうした営業マンは、端から見る限りにおいて、まずものすごく腰が低いといえます(媚びているという意味ではなくて、謙虚であるということです)。えらそうな素振りを微塵も見せません。そしてアクノレッジメント(相手の存在を認める行為)がものすごくうまいのです。
うまいというと技巧的に聞こえるかもしれませんが、もうアクノレッジメントが「生き方」になっているという感さえあります。だから、とても自然に(少なくとも周りにはそう見えます)、人を大事にしているというメッセージをふんだんに伝えています。
例えばある外資系保険会社の営業マン。27年前、このコーチングというビジネスを立ちあげたとき、私もフルタイムの一営業マンでした。
始めからコーチングを実践する機会があったわけではなく、当然お客さんを見つけなければいけませんでしたから。そこで何人かの「トップ」と言われている営業マンに教えを乞いに行ったのですが、そのひとりが彼でした。
その中で彼が主催する勉強会にまぜてもらったり、お客さんと話しているところを聞かせてもらったり、直接営業について伝授してもらったりもしました。