失言を前提としてコメントするキャスター

しかも、見出しは「改ざん」された。それでも「子どもをうまずして」と、元の見出しと変わらない意味として伝わっていった。最初の表現は大きいのだ。だって各紙が最初の見出しで拡散してしまったのだから。

共同通信公式Xの速報(左)と配信記事(右)。見出しが「産まずして」と「うまずして」と異なっている
共同通信公式Xの速報(左)と配信記事(右)。見出しが「産まずして」と「うまずして」と異なっている

この件は、そこから奇妙な展開になる。テレビでもニュースとして報じられたのだが、すっかり上川外相が大失言をした前提の空気で伝えている。中には本当の発言を詳しく伝えるニュースや、録音された音声を流して伝えるニュースもあった。

ところが、「発言をよく聞くと、子どもを産まずしてとは言ってないですね。ただ外相ともあろうものが、誤解を生むような発言をするのはいけませんねえ」とキャスターたちがコメントする。おいおい、誤解を生む発言にしたのは共同通信であり、あなたがたマスコミ全体でしょう! 自分たちで勝手に誤解しといて、「外相ともあろうものがいけません」とは何事だろうか。

ちゃんとした読者は「マスゴミ」を批判

マスコミの皆さんに知ってほしいのだが、みんな馬鹿ではない。ちゃんと記事の中身まで読んでこの見出しはおかしいと言っている人は大勢いた。「うまずして」とともに「見出し詐欺」とか「切り取り報道」もXにトレンドに入っていた。久々にあちこちの投稿で「マスゴミ」の言葉を見た。私はこの言葉を使わないようにしているが、今回はマスゴミ呼ばわりされても仕方ないだろう。ああ情けない。

「産まずして」は完全に事実と違う釣り見出しだし、「うまずして」にさりげなく改ざんされて説明もない。さらに、なぜか「産まずして」の印象のまま拡散されニュースにもなり、おまけに上川外相も謝ってしまった。「誤解されるようなことを言って申し訳ない」とのことだ。「とりあえず謝っとけ」という態度が逆に国民を舐めてるんじゃないか? そこをこそ、マスコミに批判してもらいたい。

さてこの件に私が腹を立てているのは、これが初めてではないからだ。共同通信には「前科」がある。少々細かすぎて伝わらない話だが、ぜひ最後まで読んでほしい。