最後に、糖分についてです。すでによく知られていることでもありますが、糖分の過剰摂取は体によくありません。糖尿病などの生活習慣病のリスクを高め、さまざまな病気の原因になります。砂糖の摂取量はWHOのガイドラインによると大人も子どもも1日あたり25gまでとされており、これはスティックシュガー約8本分に相当します。しかし、どこでも買える500mlペットボトルのジュースにはおよそ50gの糖分が含まれており、1本飲むだけで過剰摂取です。

海水をそのまま飲めないように、普通の水に砂糖50gを入れても、甘すぎて普通は飲めません。ですが、食品添加物のクエン酸と炭酸、香料と着色料を入れれば、すっきりとした甘さに感じてゴクゴク飲むことができます。舌の感覚が狂わされてしまうのです。清涼飲料水を買う際は、成分表示の炭水化物量をよく見て糖分の過剰摂取にならないように気をつけてください。

また、「砂糖不使用」という食品にも注意が必要です。ゼロシュガーの食品によく入っている人工甘味料のアスパルテームには、23年にWHOが発がん性の可能性があると発表しました。現在一般的に使用されている量では安全性に大きな懸念はないとされていますが、今後、研究が進むにつれて新しいリスクが判明するかもしれません。日頃手に取っている食品がどのようにできているのか、あらかじめ知ったうえで決めることが大切です。

気を付けたい食品添加物・食品原料

本記事で言及したものと、それ以外にも気をつけていただきたい食品添加物については表にまとめました。食品を買う際には、成分表示を見て何が入っているか確認する癖をつけてほしいと思います。

超加工食品とどう付き合うか?

とはいっても、今日から一切の超加工食品や添加物の摂取をやめようと決断しても、それは簡単なことではありません。そもそも、超加工食品は現代人のニーズに合わせて開発されました。便利に手早くご飯が食べたい、労力をかけずに健康的な食事がしたい、疲れて料理したくないけどお腹いっぱい安くご飯が食べたい……。これらの私たちの望みを叶えてくれるのが超加工食品です。忙しくてゆっくり調理している時間がない人にとって超加工食品はありがたい存在ですし、食べないよりはきちんと食事を摂るほうが絶対にいいです。

ただし、時間があるときには料理を自分で一から作って食べるなど、食品添加物から離れた食事をすることが、自分の健康寿命を延ばすことになると私は考えています。時間があるときは自分の食生活を顧みて、健康的で豊かな食事を心掛けてくださればうれしいです。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。

(構成=小野正広 写真=iStock.com/Hakase_)
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