アミノ酸や核酸などの化学調味料は食品にうま味を足したり、味をマイルドにするために用いられます。そのため、多くのアミノ酸が使われていると舌が鈍感になり、塩分の過剰摂取を招きやすくなります。

また、「天然」や「無添加」と書かれている食品にも、多くの化学調味料が使われていることがあります。一部の素材が天然由来であるというだけで、裏面を見ると「酵母エキス」や「たんぱく加水分解物」が添加されているケースもあります。酵母エキスもバイオテクノロジーによって作られる化学調味料のひとつなのですが、こちらは食品衛生法上の分類では「食品」扱いなので、無添加と謳うことができます。22年3月に消費者庁が発表した『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』ではこのような誤解を招く「無添加」の表示について自粛を求める方向性が示されました。

黄金トリオのラストは、「たんぱく加水分解物」です。植物性も動物性もどちらもたんぱく質を塩酸で加水分解し、苛性ソーダで中和されて作られます。たんぱく質を分解するとさまざまなアミノ酸になるので、これもうま味を出すためにさまざまな食品に利用されます。ラーメンの豚骨スープやチキンコンソメの素など各種だしやスープの素、米菓などのスナック菓子などの裏面によく書かれています。

しかし、生成過程でクロロプロパノール類という物質が生成され、これには発がん性が認められています。国際的な許容摂取規格が設けられていますので、一般的に販売されている食品を摂取していても喫緊のリスクは少ないのですが、この時点で嫌悪する方も少なくないでしょう。

ほかにも注意したい食品添加物

ほかにも注意してほしい食品添加物は存在します。代表的なのが精製加工油脂です。日本農林規格(JAS)では、マーガリンとショートニング、精製ラードの規格以外のすべての油脂を加工油脂と呼びますが、マーガリンなども含めパンや洋菓子、サンドイッチやクリームなどさまざまな食品に多量に使用されています。問題なのは、油脂の硬さを調整するために水素を添加するのですが、その際に心臓疾患のリスクがあるトランス脂肪酸が発生してしまうことです。

海外ではすでにトランス脂肪酸について多くの規定が存在します。WHOはトランス脂肪酸の摂取量を総摂取エネルギーの1%未満に抑えることを目標値として設定していますし、アメリカでは水素を添加した油脂は使用が原則禁止になりました。EUでは基準値が決められ、ほかにも多くの国でトランス脂肪酸の濃度の表示が義務付けられています。

このように、世界ではトランス脂肪酸に対する規制や警戒が強まっている一方で、日本ではトランス脂肪酸への規制はありません。しかし日本人にとっても先述のような加工油脂や、チョコレート、即席麺といったような油脂加工品は身近な存在ですから、トランス脂肪酸が入っているかどうか注意してみることをおすすめします。