世界が警戒する「超加工食品」とは

多忙な毎日を送る方々は、すぐに食べられる便利な食品をスーパーやコンビニで買って食事を済ますことも多いでしょう。その食品の中には、たいてい多量の食品添加物が使用されていますが、ほとんどの人は何が入っているか、何が原料なのかということは気にしていないと思います。

棚に並ぶカップラーメン
※写真はイメージです

しっかり審査され、安全性が認められたものだけが使われていると思われがちな食品添加物ですが、既存の添加物、特に天然添加物に関しては、使用に関するルールが業界の自主基準に委ねられているものもあります。そのためすべての添加物に対して、十分な安全性評価が行われているというわけではないのです。

これまでの添加物の歴史を振り返ってみると、国が安全だと認可するも、研究が進むか被害が発生して禁止になる……ということが繰り返されています。いまは食べても問題はないとされているものが100%安全だとは限りません。

世界的には多量の食品添加物が入った食品を「超加工食品」と呼びますが、現在、この超加工食品が世界中で警戒され始めています。2009年にサンパウロ大学の研究者らによって提唱された「NOVA分類」におけるグループ4に該当するのが超加工食品で、5種類以上の素材を使って工業的に生成されたものを指します。該当するのは、ほとんどのファストフードやインスタント食品、コンビニやスーパーの弁当や総菜、スナック菓子、清涼飲料水などです。これらは安価で手に入りやすく、すぐに食べることができるため、忙しい現代人の生活にマッチしています。

食の安全に関わる「NOVA分類」とは?

18年にパリ13大学のティボー・フィオレット氏らが発表した論文『超加工食品の消費とがんリスク』によって、「超加工食品」という言葉は注目を集めるようになりました。論文の内容は約10万人の成人を対象に、8年間NOVA分類を用いて食事の追跡調査をしたものです。

その結果は、食事中の超加工食品の摂取割合が10%増えると全身がんのリスクが12%、乳がんのリスクが11%上昇したという驚くべきものでした。この翌年に発表された別のグループによる論文では、45歳以上で超加工食品を多く摂取している人の死亡リスクは、そうでない人と比べて14%も上昇したという結果も示されています。それでは、超加工食品の何がこれほどまでに人間の健康を損なうのでしょうか。