アップル株への投資はフェラーリに乗るようなもの

さて、30年前のアップルと言えばウィンドウズに押されて苦戦する中、一時解任されていた創業者スティーブ・ジョブズがCEOに返り咲き、iMacやiPodなどで起死回生の一手を打ち始める前夜の時期です。いわば第二創業期ともいえる転換期で今後の成長が約束されるような状況ではありませんでした。その意味では、当時のアップルは生きるか死ぬかの瀬戸際にあり、もし復活を遂げれば大きな成長もあり得る、というような先行きが不透明な成長株でした。もちろん、結果的にはアップルは凄まじい復活をその後遂げるわけですが、同様の他の成長株が同じように成功した訳ではありません。その意味では、新NISAを利用して投資をしている人には、当時のアップルの株式のようにハイリスク・ハイリターンを望んでいる人は少ないと思います。

車の運転にたとえると、TOPIXやS&P500などのインデックスに投資するのは、トヨタやホンダのワンボックスカーに乗って、安全運転で進んでいくイメージです。高速道路を走るときにも追い越し車線ではなく、一番左側を走るような投資です。

一方でアップルの株式に投資するのは、フェラーリのような競技用のスーパーカーに乗って時速300kmで駆け抜けるようなものです。事故が起きる確率も高くなります。

もちろん、ワンボックスカーで安全運転しても、事故をゼロにすることはできません。車を運転している以上、事故は避けられませんが、インデックス投資であれば、その確率を下げることができます。

相場の「黄信号」は移動平均線でわかる

今一度、過去5年間の日経平均株価の推移をみましょう(図表4)。

図には3本の移動平均線が示されています。グレーは13週、黄色が26週、赤は52週です。

移動平均線とは株価の平均値のようなもの。13週移動平均線は、過去13週間の株価の平均値をグラフにしたものです。

【図表】日経平均株価の5年間の推移(週足)
筆者作成

移動平均線と日経平均株価の関係としては、26週が「黄信号」、52週が「赤信号」のような関係になっています。

日経平均株価が26週移動平均線を下へ突き抜けると、株価のトレンドが下落に転換する可能性が高まります。

さらに52週移動平均線を下に突き抜けると、大きな下落になる可能性が顕著となります。

たとえば、コロナショックの際には26週移動平均線も52週移動平均線も一気に割り込んでいることがわかります。