正しい耳掃除の3つのルール

では、耳掃除をしてはいけないかというと、そんなことはありません。でも、ぜひ守っていただきたいことがあります。

①ときどき、耳穴の手前のみを掃除しましょう

お風呂上がりやプールの後など耳垢が柔らかくなっているときに、耳穴の手前部分のみを綿棒でやさしくふき取るようにしてください。頻度は2週間に一度など気になるときだけ。あまり頻繁にこすると、耳の中を傷つけてしまう恐れがあります。

②子ども用の「頭が小さい綿棒」を使いましょう

100円ショップのものは綿棒の頭が大きいことが多いです。それよりは少し高級になりますが、子ども用の頭が小さい綿棒を使ってください。子どもの耳穴は小さいので、頭が大きい綿棒だと耳垢を奥に押し込みやすくなってしまうのです。さじのような形の綿棒は、テコの原理で力が入りやすいので使わないほうが無難です。

③綿棒には薄くワセリンを塗っておきましょう

綿棒はフワフワして見えますが、拡大して見ると粗い繊維のかたまりです。でもワセリンを塗れば傷つけるリスクが減りますし、カサカサの耳垢も吸着できます。

ちなみに、耳の中がかゆくて我慢できない場合は、炎症を起こしていることがあります。一度耳鼻科を受診し、ステロイドなどのかゆみや炎症をおさえる軟膏をつけて掃除するといいでしょう。耳の中の神経は痛みよりもかゆみを感じやすいため、耳掃除によって傷つけると、さらにかゆくなるという悪循環に陥りがちだからです。

日常生活でわかる子どもの「聞こえ」のサイン

最後に「子どもの耳が聞こえていないかも」というご相談も多いので、簡単に説明したいと思います。小さな子どもの場合、自分で耳の聞こえを自覚することは難しいですから、親御さんが観察していて「おかしい」と思ったら早めに耳鼻科を受診しましょう。例えば、以下のような様子が見られる場合、念のため相談しておくと安心かもしれません。

・背後から話しかけられると返事をしないことが多い
(何かに夢中になっていなくても返事をしない)

・人の話を聞くときに、どちらか片方の耳を傾けている

・2歳になっても言葉が出てこない

・テレビなどの電子機器の音量を上げたがる、耳を近づける

・片方の耳にケータイを当てて通話すると返事をしない

・聞き返しが多い

耳に手を当ててよく聞こうとしている男の子
写真=iStock.com/DenisZbukarev
※写真はイメージです

子どもの耳が聞こえない場合、急性中耳炎や滲出性中耳炎、慢性中耳炎、耳垢栓塞などが原因であることが多いでしょう。必ず治療を受けてください。

また稀にですが、おたふくかぜにかかったのであれば、おたふく難聴の可能性もあります。おたふく難聴は1000人に1人とされますが、多いと200人に1人ともいわれています。おたふく難聴には治療法がないので、ワクチンを接種し、おたふくかぜ自体を予防してくださいね。

(聞き手・構成=大西まお)
【関連記事】
保育園に入った子どもは何カ月後まで風邪を繰り返すか…途方に暮れる親に小児科医が伝える「3つの研究結果」
「すぐキレる子」の親には共通点がある…心理カウンセラーが教える「子どものわがまま」の本当の理由
「頭のいい両親の子供なら頭はいい」は大間違い…遺伝学の研究者が語る「遺伝と子供の発達の真実」
子供に1000万円課金しても大学偏差値が3上がるだけ…賢い親は気づいている中学受験以外の課金先2つ
「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か【2023下半期BEST5】