「鼻水を取り去ること」が予防になる

さて、難聴にもつながりかねない厄介な中耳炎を防ぐには、しっかり鼻水を取り去り、鼻水をすすらせないことが大切です。鼻水を強くすすると、より鼻から耳へと細菌やウイルスが送られやすくなるためです。でも、小さな子どもにとって上手に鼻をかむこと、鼻をすすらないことは、なかなかの難問ですね。鼻うがいも効果的ですが、より難しいでしょう。

そこで私たちがおすすめしているのは、市販されている生理食塩水の鼻スプレーです。これを鼻の中に吹き付けると鼻水が柔らかくなるので、鼻水吸い器で取りやすくなり、鼻もかみやすくなります。涙と同じ成分の生理食塩水だから鼻が痛くならず、鼻水ごとのどに流れて飲んでも問題ありません。泣いた後、お風呂の後、プールの後にも鼻がすっきりしているのと同じです。

さらに電動の鼻水吸い器があれば、とても便利でしょう。ただし、お子さんが小さいうちしか使わないかもしれません。もしも通院が大変でなければ、耳鼻科で吸引してもらうというのも選択肢の一つにしてもいいかもしれません。こまめに鼻水を取り除けば、鼻風邪から中耳炎へと進むのを少しは予防できると思います。

耳垢栓塞の原因は「耳掃除のやりすぎ」

その他に意外と多いのが、「耳垢栓塞じこうせんそく」です。SNSなどに「子どもの耳が遠いから耳鼻科で診てもらったら、耳垢が詰まってた!」「耳が痛いと子どもが言うから何かと思ったら、中に石のような耳垢が!」なんて話がありますよね。まさにそれです。

耳垢栓塞の原因は、ほとんどの場合、過度の耳掃除です。本来、耳垢はカサカサでもベタベタでも、自然に剝がれて出ていくもの。長時間にわたって耳栓や補聴器をつけている場合以外は、耳の穴の出口を小指の先でササッとかくようにするだけでポロポロと出ていきます。あれで十分なのです。ところが真面目な親御さんほど、お子さんの耳を綿棒で毎日しっかり掃除し、逆に耳垢を押し込んでしまいがちなのです。

こうして耳の中に石のように硬くなった耳垢が詰まると、自宅で取るのは困難になります。近くの耳鼻科を受診して、ピンセットや吸引管、綿棒などで取ってもらいましょう。そのままでも日常生活にさほど支障のない場合は、耳垢を柔らかくする点耳薬を出してもらって1〜2日ほど使ってから取ってもらったほうが痛くないこともあり、おすすめです。

子供の耳をチェックする大人の手元
写真=iStock.com/nzfhatipoglu
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