相手への興味関心を伝える傾聴の仕方は何か。心理カウンセラーの古宮昇さんは「あなたが話し手に関心を持っていることを体で伝えるには『うなずき』がとても重要だ。外からはうなずきが大きすぎるとか多すぎると見られるぐらい豊かに反応してこそ、話し手は話しやすくなる。ほとんどの人は顔を小さくしか動かさないが、そうではなく、首の付け根あたりから、首を縦に大きく動かして『うん、うん』と声を出してうなずくといい。自然と相づちにもバリエーションが生まれる」という――。
※本稿は、古宮昇『一生使える! プロカウンセラーの傾聴の基本』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
言葉より体で「あなたに関心があります」と伝える
私たちが人と会話をしているとき、かならず行っていることがあります。会話のたびに毎回、自動的に行っているので、自分でも気付いていないことです。
それは、会話の相手が私たちに関心があるかどうか、話をしたいと思っているのかどうかを判断することです。
「会話の相手の人は、私に関心があるのかな? 私のことが好きなのかな? それとも嫌いなのかな? 私と話がしたいと思っているのかな? それとも本当は話をしたくないのかな?」と、会話のたび、いつも自動的に判断しているのです。
では、私たちはどうやってそれを判断しているのでしょう?
米国の社会心理学者メラビアンの研究では、判断の手掛かりとして相手の言葉は10%にも満たず、相手の声の感じと質が約40%、そして相手の表情、身ぶり、姿勢など、身体言語が占める割合が約55%、という結論に達しました。
つまり私たちは言葉の内容よりも、声の感じや表情や身ぶり手ぶりによって、「私はあなたに関心があります」と伝えているのです(Mahrabian、1971)。
ですから、聴き上手になるためにまず大切なことは、私たちの体で「私はあなたに関心があります。あなたの話を聴きたいと思っています」と伝えることです。