「生で食べることが健康的」とは限らない

ほうれん草などの葉物には「シュウ酸」という物質が含まれています。

シュウ酸は水に溶ける性質があるので、茹でこぼすことで減らすことができます。シュウ酸は尿路結石の原因になりやすく、日常的にほうれん草を生でスムージーなどにして飲んでいる方は要注意です。

このように、調理をすることによって「体に入れたくない成分」を取り除くこともできるので、「生で食べることが健康的」とは限らないのです。

「皮つきのほうが栄養がある」とは言えない

また、野菜や果物は、皮や皮に近い部分の方に栄養があるということはよく言われていますが、皮をむいたものと皮付きのものの栄養量の差は微々たるものです。

「野菜の皮や皮に近い部分の栄養素」がどの栄養素なのかにもよりますが、たとえば、にんじんのビタミンA(レチノール活性当量)の食品成分を見比べてみると、皮付きより皮なしの方がビタミンAが多いのです(それぞれ茹で100g当たり710㎍及び730㎍)。

皮付きの方が、劇的に栄養量が多いのであれば、管理栄養士としてもなるべく皮を付けたまま食べることを推奨しますが、どうもそうではなさそうです。

白い背景に半分に切られた生のジャガイモ
写真=iStock.com/Hyrma
「皮つきのほうが栄養がある」とは言えない(※写真はイメージです)

しっかりと咀嚼しないと皮は消化に悪いですし、加熱してもあまりやわらかくなりません。訪問栄養指導でも、咀嚼力や消化機能が低下している高齢者の食事をつくる際は、トマトやパプリカなどの野菜の皮を取り除くよう指導することがあります。

健康な人が「生ごみを減らせる」とか「食感を楽しみたい」などの理由で皮付きのまま食べるのは結構ですが、「健康のため」に皮付きのまま食べることを、ことさらにおすすめはしません。