「旬の野菜」は栄養素が豊富

季節の旬の野菜は、ほかの時期に比べて栄養素が豊富です。また、旬の時期には市場にたくさん出回るので、価格も安くなります。

今では、通年出回っている野菜も多く、「旬」がわかりにくくなっていると思いますが、含有される栄養素も旬の時期には、もっとも少ない時期の倍以上含まれているものもあります。

たとえばキャベツは、もっともビタミンC含有量が多いのは2月で、69㎎/100gです。もっとも少ないのは11月で29㎎/100gとなっています。食品成分表を見ると「夏採り」「冬採り」などと分けて記載されているのですが、野菜によってこんなにも差があるのかと驚きます。

トマトも旬は夏ですね。暑い日に冷やしたトマトを皮ごと丸かじりすると、とても甘くておいしいです。

7月に収穫されたトマトのカロテン含有量は528㎍/100gですが、11月のトマトは241㎍/100gです。こちらも倍以上の違いがあるのです。(※)

※ 児玉剛史「栄養素から見た野菜の生産性の季節変動」『農業経営研究 1999年37巻3号』農業経営学会 p1-9

「ハウス栽培は栄養がない」は過去の話

「旬でないと栄養価が落ちる」というよりは、旬だからこそ栄養価が高いと言えます。農業技術の発達によって、通年にわたり野菜を育てることができるようになったのは素晴らしいことです。

トマトのトップシーズンに比べて栄養価が低いからといって、冬のトマトを控える必要はありません。ただし、「旬の野菜の栄養価が高い」ということは意識して野菜を選んだ方がよさそうです。

また、ハウスものの野菜の場合、雨や風、気温などの天候に左右されることなく、生育環境を管理され、すくすくと育ちます。一定の品質のものを安定的に供給できるメリットがあります。

ハウス栽培も肥料などの改良によって、含有する栄養素の量は露地ものとそれほど大きな差はないとされています。

農業温室におけるトマトの栽培
写真=iStock.com/yuruphoto
「ハウス栽培は栄養がない」は過去の話(※写真はイメージです)