金価格が史上最高値を更新している
【大橋】同じことが、日本においてはゴールドにも当てはまっていますね。“円建て”のゴールドの店頭販売価格がついに1グラム1万円を超え、史上最高値を更新し続けています。実質金利がマイナスという状況が、ゴールドにとっては強烈な上げ要因となっていると考えられます。
その一方で、ドル建てのゴールドはあまり動いていません。これは円とは逆に、ドル金利が高いためですね。マネーは金利の高いほうに流れていきます。金利のつかないゴールドより金利のつくドルを持つほうが投資妙味がある。
ただ、ドル建てゴールドは下落もしておらず、高値圏で行ったり来たりもみ合っています。
円安が続けば日本に資本が来なくなる
【エミン】「日本円のトルコリラ化」の続きを申し上げると、トルコリラ安が続くなか、外国資本の大半がトルコ株から撤退しました。だから、いまのトルコ株はトルコ人が買っているだけです。
日本の場合も、今後も円安政策を続ける、あるいは加速させるならば、外国から日本に資本が来なくなります。
なおかつ日本人の資本が外国に逃げます。ただ置いておくだけで2115兆円の資本が目減りするのなら、少なくともドルを買うでしょう。もしくはドル建て資産になる債券や株を買う。
ただ、ここで老婆心ながら申し上げておきたいのは、外貨を買うことは基本的に投資ではないということです。
【大橋】そうですね。通貨を交換しているだけですから。
【エミン】米ドルは米ドルでインフレリスクを常に抱えていますし、米国における財政問題も深刻です。外貨に換えて、外貨で何かに投資をするのであればいいのです。これならば、私は賛成します。
その一方で、岸田政権の目も当てられない支持率を見ると、もう間もなく政権交代がなされ、円安放置が無くなる可能性もあります。外貨への投資をするには、このようなことも見込んでおく必要があるのです。