1億円のマンションを買える人は約2%
【エミン】でも、よくよく考えたら、日本人は1億円の物件をキャッシュで買うのではなくて、銀行による住宅ローンに頼っているでしょう。銀行は基本的に、年収の7倍まで貸し出しますということを、ルールとして使っている。
ということは、1億円の資金調達をするには、年収が少なくても1500万円以上でないとアウトです。日本において1500万円以上の年収を得ている人の割合はきわめて少なく、“2%”ぐらいしかいません。
【大橋】寂しい。それくらいしかいないんですね。
【エミン】つまり「億ション」は、一般人がなかなか買えないわけです。そうすると、いったい誰が買っているのか? じつは世の中にはそれなりに資産家がいるんです。その人たちがそうした物件を買い占めているわけです。
【大橋】何軒も買ってしまうのですね。
【エミン】そう、何軒も。なぜでしょうか、実質金利が大きくマイナスに陥っているからです。
実質金利の低下が不動産バブルを招く
【エミン】つまり、日本ではインフレがゼロだった時代に、実質金利はそんなに悪くはなかった。
短期金利がマイナス0.1%でも、インフレが0%だったら、実質金利はマイナス0.1%。
でも、いま日本のコアコアCPI(エネルギーと生鮮食品を除く消費者物価指数)は4%前後で推移している。政策金利であるマイナス0.1%から4%を引くと実質金利がマイナス4%を超えるわけです。
この状態に、お金を持っている人たちは焦りに焦る。居ても立ってもいられず、株などに見向きもせずに、とにかく不動産を買うことに奔走するのです。そして不動産バブルをつくってしまうわけです。