若者を苦しめる「完璧な親シンドローム」

〈……(番組進行者)「私がある女性から聞いた話ですが。子供を産むことが、なぜか罪を犯すようだというのですよ。自分の子供に、こんな世の中を生きるようにするなんて、と。だから出産自体になんだか罪悪感があるというのです」

(以下、チョ・ヨンテ教授)「そうですね。そんなこともあります。それに、心理的にこういうのもあります。青年たちは、自分自身が完璧な親でなければならないという「完璧な親シンドローム」なんです。結婚、そして結婚してから子供に与えるものに対する期待値があまりにも高いわけです。おかしくもないでしょう。教育水準とか高いですから。

だから、自分自身が完璧な親になれるまで待ちます。その時点ですでに結婚できる可能性も、子供を産む可能性も低くなります。その完璧な親とやらになれる人はそういません。結局は、親が助けてくれないとできません。だから、すべての人が平等に結婚できる可能性はなく、完璧な親シンドロームで期待値が高くなり過ぎ、親が私に相応の分を与えてくれないと結婚も子供を産むことも出来なくなってしまうのです。これはちょっとどうかと……〉

母親の手を握る赤ちゃん
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家業を継ぐより「より偉い職業」を目指す

半地下などで苦労して結婚生活を送った人は、もし子供も経済的に余裕がなくて半地下で結婚生活をスタートするようになったとき、「私もそうだったよ」と応援する親もいるにはいるけれど、多くが「絶対にダメだ。結婚なんかするな」と極端に反対するという話があります。

詳しいデータがあるわけではありません。ただ、韓国人は、この「私もそうだった」と話す人の比率が極端に少ないと言われています。「韓国には老舗が少ない」、「韓国人は勤続期間が短い」などの話にも通じることですが、韓国では子供が親の家業を継ぐより、「社会的にもっと認められるなにか(検事とか医師とか)になる」ことのほうが、ずっとよいこと、親孝行なこと、という認識になっています。

長くやっている店を見ると、「おお、すごいすごい」としながらも、店を出てからすぐに「その長い間、『有能な子供』が一人も生まれなかったのかよ」とあざ笑う人が、韓国にはまだ大勢います。有能な子供が生まれたら、あんな店を誰が継ぐものか、と思ってしまうわけです。

似たような話が、韓国関連書籍(韓国人が書いたもの)でもよく出てくるので、似たような話をどこかで聞いたという方も多いことでしょう。こうした傾向も、間接的ではあるものの、報償心理の現れのひとつだという分析もあります。