日本はラブシーン控えめ、タイや台湾はキス、スキンシップ激しめ

日本と他のアジアのBLを比べると、日本はラブシーンが控えめで、タイや台湾のほうがキスシーンは多くスキンシップも激しめ。タイは、世話を焼くのが愛情表現という文化があるようで、病気やケガで看病するシーンがよく出てきます。また、背景に南国の風景が出てくるので、仕事に疲れた女性にとっては現実逃避感があります。

台湾のBLは映像が美しく、ピュアなストーリーが多い印象です。ルックスも韓流っぽい一重のクールな顔立ちから、華やかな顔立ちまで、BLファンの女性のあらゆるニーズに対応してくれます。

台湾のBLドラマで金字塔とされるのが2017年に配信が開始され、大ヒットした「HIStory」シリーズです。日本で劇場公開もされました。そして最近では「奇蹟」というドラマがヒット。「HIStory」に出演していた俳優も多数出演していて、半グレの若者と優等生の恋という、ハードな内容でした。話題性があるBLドラマへの出演は、台湾ではスターの登竜門となっています。

その「奇蹟」の製作会社も関わっている新たなBLシリーズが台湾で配信開始されました。「VBLシリーズ」という4部作のコンテンツです。アジアのBLは学園ものから社会人、マフィア系、などあらゆる設定が出尽くした感がありますが、若い才能が渦巻く台湾のBLドラマ界には、まだ未開拓の設定がありました。

例えば4部作の一作目「Stay By My Side」は、エリート学生と幽霊の声が聞こえるルームメイトのラブストーリー。ホラーとBLの相性は良さそうです。

同2作目「You Are Mine」は、クールなオレ様社長と、新人秘書のスーツ系ラブコメディ。仕事の内容はマッサージや添い寝など、コンプライアンス的にもドキドキさせられる設定です。

韓国ドラマ「You Are Mine」のカップルのイラスト
イラスト=辛酸なめ子

同3作目「VIP Only」は、スランプのBL作家が創作料理店のオーナーシェフと恋に落ちる物語。オーナーシェフが坊主頭&ヒゲで、元メジャーリーガーのイチローさんにちょっと似ていて親近感があります。

同4作目「AntiReset」は最も先鋭的な設定で、冷酷な大学教授とリアルな人間の姿をしたAIロボットの恋愛です。AIロボットという役柄を、近未来的な白い上下で表現。

そのうち「Stay By My Side」と「You Are Mine」は台湾の動画配信サービスKKTVで、中国・香港・マカオの再生回数がトップ5に入ったほどの人気ぶりで、日本でもスカパー!や日テレプラスなどで視聴できます。このVBLシリーズに主演している8人が先頃来日し、ファンミーティングを開催しました。

「VBLシリーズ ファンミーティング in TOKYO~東京でV8に会おう!~」と題されたイベントは昼の部と夜の部の2回公演で、チケット代は1万7600円。ファンミーティングは昨今1万円以上とけっこういい値段であることが多いですが、それでも集客できるほどの魅力があるのでしょう。

以前伺った台湾の「奇蹟」のファンミーティングはA席1万3200円、13人の俳優とハイタッチや撮影できるVIP席は2万2000円という設定でしたが、ほぼ満席状態でした。中国語が飛び交っていたので、台湾から参加するファンも多そうです。