しかし2020年の夏にはコロナ禍の減便の影響で「ファミリー車両」は終了してしまった。

「ファミリー車両」の後継サービスとして「お子さま連れ専用車両」が復活したのは2021年の秋。

10月2日~12月19日のうち、土休日の「こだま」の2往復、合計104本に設定された。秋の行楽シーズンであり、旅行ピーク以外の利用を奨めるキャンペーン「ずらし旅」の提案も兼ねていたという。

2021年の年末年始シーズンはさらに増えて、「のぞみ」「こだま」合わせて136本の列車に設定。「お子さま連れ専用車両」は「ファミリー車両」と異なり「+1席」サービスはなく、プレゼント企画もプラレールコラボもない。旅行商品であることを示す「ドリンク引換券」は継続し、2022年の年末年始シーズンからはおとな用座席に「キヨスクや車内販売で使える1000円分の電子クーポン」も付くようになった。

今年からは席の変更や早期割引も使えるように

2023年春からは「お子さま連れ専用車両」が「のぞみ」専用になり、2023年の年末年始シーズンまで続いた。「+1席」サービスがなく、お子さま向けのオマケもあったり、なかったり。それでも人気は衰えなかった。

なぜなら乗客にとって最大のサービスは「一般客に気兼ねなく乗車できること」だったからだ。

そして最新の2024年春シーズンは「お子さま連れ車両」として運用されている。駅やきっぷ券売機、旅行会社などでも購入できるようになり、「EX予約」や「スマートEX」に対応したことで予約が簡単になった。従来はクーポンが届くまで座席の位置がわからなかったけれども、シートマップによる座席指定もできる。

1ドリンクや1000円電子クーポンはなく、お子さま向けのオマケもなくなり、ちょっと寂しい企画になった気がするが、理由は単純だ。前回まではジェイアール東海ツアーズが販売する「旅行商品」だったけれども、今回からはJR東海が直接販売する「通常の新幹線特急券の一種」になったのだ。扱いとしては「特大荷物スペースつき座席」等と同じである。

サービスは減ったが、通常の新幹線特急券と同じ扱いになったことで乗車前の指定席の変更ができるようになったのは嬉しい。駅の窓口やサポート付き券売機では変更1回まで無料、「EX予約」や「スマートEX」では何度でも無料だ。

「お子さま連れ車両」が満席だった場合に、いったん他の座席の指定席を確保しておき、キャンセルを見つけたら変更するというワザも使える。

旅行商品のクーポンは指定席を変更できないし、乗り遅れたら無効になる。しかし、通常の新幹線特急券の場合は後続の車両の自由席に乗車できる。「EX予約」や「スマートEX」の場合は乗車前に後続の列車に変更すれば良いのもメリットだ(ただし、差額が発生する場合は精算される)。

もうひとつ重要なポイントは「EX予約」や「スマートEX」の早期割引が適用されることだ。子ども料金が設定される割引サービスは7日前まで販売する「EX早特7」、3日前までの「EX早特3」、乳幼児の座席が不要なら、おとなのみ設定される「EX早特28ワイド」「EX早特21ワイド」を利用できる。

また、ファミリー向けとして土休日限定の「EXのぞみファミリー早特3」と「EXこだまファミリー早特3」などもある。

お子さまへのオマケはなくなったけれど、割引された差額を使って売店で新幹線グッズを買ってあげられる。おまけ付きより割引の方がありがたいと考える家族も多いだろう。今どきの子どもはおもちゃよりスマホやタブレットでアニメの動画を好むかもしれない。「お子さま連れ車両」なら、音量を上げて楽しめる。14年間で子どもを連れて新幹線に乗る楽しみも変わったといえそうだ。

「子どもがうるさいという苦情が多かったわけではないですが…」JR東海の担当者が語る新幹線「お子さま連れ車両」人気の“シンプルすぎる”理由〉へ続く

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