中学に入学した孫にお小遣いをあげると

長年おつきあいのある、ひとり暮らしの女性患者さんからこんな話を聞きました。

「私には、中学に入ったばかりの孫がいます。お正月のこと、久しぶりに息子夫婦と里帰りしてくれたので、感謝の気持ちもあってお年玉に1万円あげました。年金暮らしで生活に余裕はありませんが、とても喜んでくれたので、そのときは『あげてよかった』と思いました。その後、ゴールデンウィークにも遊びに来てくれたので、お小遣いを5000円あげました。もちろん、喜んでくれましたよ」

先日、その彼女のもとにお孫さんから電話があったそうです。

「『夏休みも、おばあちゃんのところに遊びに行きたいのだけど、パパとママは忙しくて一緒に行けそうもないんだ。だから、電車賃を出してくれない?』と言うんです。1万円くらいほしいと言ってきましたけど、それほど余裕があるわけではないので即答できませんでした」

もちろん、お孫さんに「年寄りから金をむしり取ってやろう」という気持ちはないのでしょうが、お小遣いをあげることがたび重なると、孫はおばあちゃんを財布代わりと見てしまいそうです。

包み隠さず孫にすべて伝える

では、そうした思い違いをさせないためにはどうしたらいいのでしょうか。

「おばあちゃん(おじいちゃん)は年金という国から出るお金だけで暮らしているので、それほど生活に余裕があるわけじゃないんだよ。だから、一年に一度くらいしかお小遣いはあげられないからね」

と、包み隠さず孫に伝えることです。

保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)
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ほとんどのシニアは、「そんなことを言ったら孫に嫌われてしまう」「二度と遊びに来てくれなくなる」という不安から、なかなか本音を言えないようです。

しかし、それでは孫との関係が愛情ではなく、単なるお金のつながりになってしまうでしょう。

言うまでもありませんが、孫へお小遣いをあげるために食事を抜くとか、お金を借りるというのは、もってのほかです。

孫のおねだりを拒絶するのはつらいものがあるかもしれませんが、そうすることが孫のため、孫への愛情だと理解してください。

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