会社の投資が健全に行われているかチェックする

〈ポイント2〉フリー・キャッシュ・フローで会社の健全性を測る

「フリー・キャッシュ・フロー」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

これは、営業キャッシュ・フローで稼いだお金を、投資キャッシュ・フローに振り向けてもなお余っているお金のことです。このプラス、マイナスを見ることによって、会社の投資が健全な額かどうかがわかります。

フリー・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローがプラスで、投資キャッシュ・フローがマイナスになっていることが前提の指標です。

会社が継続的に成長していくためには、製造機械やシステムなどの設備投資、新店舗建設などの投資にお金を使っていくのが通常です。

しかし、やみくもに投資をすると、今度は会社のお金が底をついてしまう恐れがあります。したがって、バランスを考えながら適切な投資金額を設定する必要があります。その指標となるのがフリー・キャッシュ・フローなのです。

数字の羅列から会社の輪郭が浮かび上がってくる

基本的に、フリー・キャッシュ・フローがプラスであれば、借入金の返済や株主への配当にお金を回すことができるため、投資の金額としては健全であると考えられます。

川口宏之『有価証券報告書で読み解く 決算書の「超」速読術』(かんき出版)

それとは逆に、フリー・キャッシュ・フローがマイナスになると、借入金の返済や株主への配当にお金を回せなくなるだけでなく、新たに外部から資金を調達してまで投資にお金を費やしていることになるため、リスクの高い投資を行っていると判断できます。

以上が、キャッシュフローから会社の実態を見るためのポイントです。このような視点で決算書を眺めると、たんなる数字の羅列から、徐々に会社の輪郭が浮かび上がってきます。

ぜひ、実際の決算書をお手元に用意して何度か試してみてください。

 
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