最新技術で老眼鏡なき人生を手に入れる

老眼対策は「まずは老眼鏡をかける」のがベーシックな選択だし、いろいろな老眼鏡を揃える楽しみもあるが、僕はメガネをかけたり外したりするのは煩わしいと思っている。北澤医師によれば、それを解決する最新の治療法があるという。

新しいのはICL(Implantable Contact Lens)、つまり眼内に挿入する眼内コンタクトレンズの遠近両用版。レーシックで近視矯正をした後でもできる治療法で、近視、乱視、遠視、そして老眼まで矯正でき、さらに“遠近両用”よりも進化した、遠方から近方までなだらかに焦点が合う多焦点レンズも広がり始めているそうだ。

「1m先の“遠方”と、本やスマホを見る30cm先の“近方”の2焦点(遠近両用)だと、パソコン使用時の60~70cm先が見えづらいんです。そこで遠方だけでなく、中間から近方までピントの合う多焦点のICLが出てきました。それを入れればスマホやパソコン、仕事を含む日常生活の範囲では裸眼で過ごせて、老眼鏡への依存度はかなり減らせると思います」(北澤医師)

仕事で疲れたビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
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水晶体を取れば、白内障になる心配もなくなる

多焦点ICLが治療の最先端だが、暗い場所ではレンズの機能が落ちてしまうため、明るい環境で見る必要があるという。40代後半~50代の近視の人と、老眼の人が多焦点ICLを入れ始めているそうだが、僕も興味を持った。その手術を受けるなら、何歳くらいのタイミングがいいのだろう。北澤医師によると「50~60歳くらい。“老眼鏡がないと近くが見えない”というタイミングが良いでしょう」という回答だったが、もう1つ気になったのは、その時に水晶体はどうするかということ。取るのか、温存するのか。

北澤医師は、基本的に水晶体が透明ならば温存し、濁っていて白内障になっていたら取って、白内障用の遠近両用眼内レンズを入れるなど、年齢と水晶体の状態に合わせて判断するという。水晶体を温存する理由は「白内障になっていないのなら、取りたくないと希望する人が多いため」。僕なら、いずれ白内障になるんだから、水晶体は取っちゃえばいいのにと思うのだが。そう伝えたら、なんと、それもアリなのだそうだ。

「50代で、白内障は軽度だけど水晶体を取ってしまおうとなれば、白内障と老眼を同時に、1回の手術で治すことは可能です。水晶体を取れば将来、白内障になる心配もなくなりますから」(北澤医師)