メガネをかけずに視力を維持する方法はあるのか。実業家の堀江貴文さんの著書『金を使うならカラダに使え。 老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』(幻冬舎)より、一部を紹介する――。
眼鏡とノートパソコン
写真=iStock.com/peshkov
※写真はイメージです

ホリエモンが感じた目の違和感

僕は39歳の時にレーシック手術(レーザーを角膜に照射する視力矯正手術)をしたので視力はいいのだが、さすがに最近、暗いところだと細かい字が見えにくくなってきたように感じる。同年代の友達から「老眼鏡をかけてみろ」と言われて試してみたら、確かにはっきり見えた。

でも僕は、メガネをかけずに快適に見える視力を維持し続けたいと思っていて、白内障手術などで著名な眼科医の北澤世志博医師に最新の治療法を取材したことがある。

【話を伺った研究者】
北澤 世志博(きたざわ・よしひろ)
1964年生まれ。「アイクリニック東京サピアタワー」院長。博士(医学)。日本眼科学会認定専門医。福井大学医学部卒業。東京医科歯科大学、川口医療センターなどを経て2023年より現職。ICL、白内障手術で著名で、学術論文も多数。日本眼科手術学会の理事も務め、ICLエキスパートインストラクターなどの資格を有する。

老眼は一般的に40代後半から始まるが個人差が大きく、たとえば視力2.0くらいの眼のいい人は42~43歳で老眼鏡が必要になったり、視力1.0くらいでやや近視の人は50歳過ぎまで老眼鏡なしでも大丈夫だったりするそうだ。いずれにしろ、誰にでも自然に起こる眼の機能低下とされている。

老眼の原因は、眼のピント調節がスムーズにできなくなってくること。ピントは、レンズである水晶体を、その上下にある毛様体が引っ張ったり緩めたりして、厚みを変えて調節するのだが、加齢とともに水晶体が硬くなったり毛様体が弱くなったりすることで近くが見えにくくなる。

老眼に効果的な1日5~10分のトレーニング

毛様体は筋肉みたいなもので、ピント調節をする時に頻繁に動かしているから、ある意味、筋トレになっているように思えて、なぜ弱るのかが疑問だった。

北澤医師に尋ねると「確かに毛様体は筋肉ですが、筋トレはできません。人間が起きている間は休みなく、ずっと伸び縮みしていて“いつも使っている”状態です。なので、身体の筋トレのように、普段使っている以上の動きを毛様体にさせることはほぼ不可能です」と答えつつも、「ただ、遠くと近くを交互に見ることは、トレーニング的な効果が得られるでしょう。30cm程度先の手元と、ずっと遠くを交互に見るのを、毎日5~10分続けると、老眼を遅らせることはできるかもしれません」と教えてくれた。

北澤医師は日々、このトレーニングを続けられなくて老眼になった患者を多く診ているから、“毛様体の筋トレ効果”は難しいと話していたけれど、継続すれば老眼防止の可能性はありそうだ。

また、眼の角膜の後ろにある水晶体は、もともとは透明で光をよく通すが、加齢に伴い中身のタンパク質が変性し白く濁っていくことで白内障にも進行する。白内障になると、物が二重に見えたり、視界にもやがかかったようになるので治療が必要となる。一般的に、白内障の手術は70歳前後で行う場合が多いが、近視の強い人は60代、なかには50代で手術が必要になる人もいるそうだ。老眼になると、その何年後かには白内障のリスクが高まる。