バイデン大統領の勝率は50%以上ある

――世論調査ではトランプ前大統領のリードが報じられていますが、トランプ氏とバイデン大統領は事実上、互角の戦いを繰り広げています。大統領選の行方をどう見ますか。

トランプ前大統領がいまだに支持者から人気があるのが腑に落ちない。アメリカの有権者の気持ちを図りかねるため、選挙も見通しにくい。とはいえ、世間で「トランプ疲れ」が起こっていることを考えると、バイデン大統領の勝率は50%以上ではないか。トランプが勝つ可能性もあるがね。

トランプ前大統領は4つの刑事事件で起訴されており、大統領選前に、そのうちの1つで有罪になる可能性がある。有罪判決はトランプの岩盤支持層を勢いづけるという見方もあるが、激戦州ではマイナスに働く。

投票する人の手元、背景には星条旗
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わずかな票でも取りこぼせばトランプは負ける

共和党指名候補争いから撤退したヘイリー元国連大使の支持者は、その大半がトランプに投票するだろう。だが、わずかな票でもバイデン大統領に流れれば、トランプの敗北につながる。ほんの少しの割合の共和党支持者と無党派層がトランプに票を投じないだけで、差が出る。今年の大統領選も、そのくらい接戦になるということだ。

バイデン側にとっての悪いニュースは、彼の主要な支持層である若者やアフリカ系米国人、ヒスパニック系の有権者がバイデン離れを起こしていることだ。バイデンは4年前の大統領選で、若者から圧倒的支持を受けた。トランプより若者や黒人の票を多く獲得したとしても、その差が小さくなるのはまずい。

――ケネディ元大統領の甥、ロバート・ケネディ・ジュニア氏など、第3政党の候補者について、どう思いますか。

第3政党への支持はバイデン大統領の票を奪う可能性がある。わずかな支持でも、バイデンにとっては危険だ。2000年の大統領選で、共和党のブッシュ・テキサス州知事(子)がクリントン政権2期目のゴア副大統領と接戦を繰り広げたが、第3政党の候補者(注:社会運動家のラルフ・ネーダー氏)の存在がゴア敗北の一因だったといわれている。