「実利強調」の外交政策でFOIPの未来を守れ

トランプ氏が理念的な話題を好んで取り上げることは、めったにない。理念的な部分に共鳴して、トランプ氏が「FOIP」を強く推進する、といったことは起こりそうにない。多国間協調主義を推進する枠組みとして「FOIP」を解釈しようとするバイデン政権の姿勢は、トランプ氏はおそらく継承しないだろう。

しかし、それにもかかわらず、トランプ氏が「FOIP」に強く関与する可能性は、第1次政権のときと同様に、必ずしも低くはない。日本にとっては防衛努力向上の要請は、大きな負担になるかもしれない。それでも、アメリカとインドが関係を深めていく際に「FOIP」の枠組みを通じてそこに関わっていくことには、日本の外交政策上の利益もあるだろう。

トランプ氏が本当に大統領になった場合には、実利的な関心を話題の中心に据えて、外交政策を展開していく姿勢が求められてくる。しかしそれは必ずしも「FOIP」の理念の放棄を意味しない。トランプ政権が成立したときこそ、きめ細かい配慮を施した外交政策の発展が模索されていかなければならない。

【関連記事】
【第1回】トランプ2.0はアメリカのウクライナ支援停止を意味する…「トランプ返り咲き」でゼレンスキーが窮地に陥るワケ
「もしトラ」ならプーチン大統領が大喜び…トランプが「ウクライナ戦争は1日で終わらせる」と豪語するワケ
中国不動産のバブル崩壊はさらに深刻化する…習近平の側近の「爆弾発言」が意味する深刻すぎる状況
今のロシアは革命前のロマノフ王朝にそっくり…筑波大名誉教授が「プーチン政権の崩壊は近い」と考える理由
プーチンは習近平を「世界のリーダー」と絶賛したが…中国にも見放されるロシア外交の深刻な孤立ぶり