「年上の後輩」「年下の先輩」が悩みの種に
飲みニケーションを不要と考える人の意見からは、職場の人間関係を「仕事上に限定したい」という気持ちが垣間見える。つまり、「仕事だから仕方なくコミュニケーションを取ってはいるものの、仕事の時間外ではできるだけ職場の人と関わりたくない」ということ。
特に「年上の後輩」や「年下の先輩」に対しては、職場ではまだ割り切って関わることができるものの、距離がグッと近くなる飲み会においては、変に気を遣ってしまうため、疲れてしまうのだろう。
私の場合、学生時代から続けてきた空手や、会社関係、お寺の檀家総代、僧侶同士の付き合いなど、さまざまな分野でさまざまな関わりがあったため、飲み会に誘われることも多かった。
それらの関係の中には当然、年上の後輩、年下の先輩も当たり前のようにいて、若い頃は、彼らとどう付き合ったらいいのか、が分からなかった。
さらに今でこそ、無理にお酒を勧める人は減ったと思うが、一昔前は、年上の先輩が注いでくれようとしたお酒を断ろうものなら、あからさまに残念そうな顔をする人が少なくなかった。
さらには「形だけでいいから」とお願いされたり、「先輩に勧められたら、飲めなくても飲むんだよ!」と憤る人までいた。
「歴戦の兵たち」から学んだスキル
それでも前述の通り、私はお酒とタバコは苦手であっても、飲みニケーションやコミュニケーション自体は苦手ではない。
その理由は、若いときに多岐にわたる飲み会の場に放り込まれたことで、私が最も苦手としていた相手に対しても、巧みにコミュニケーションをとってみせる先輩たちの話術や振る舞いを間近に見せてもらったからだ。
酔っ払って延々と絡んでくる先輩、普段は無口なのに、お酒が入ると饒舌になる人、普段は控え目で大人しいのに、お酒が入ると急に店員さんに横柄になる人……。
それらの面倒くさい人々に対しても、冷静に、飄々と応対する。
飲みニケーションの場において、そんな巧みな先輩たちに学ぶことは多かった。