理性を失った人に対する立ち居振い
ブッダは、人々に不飲酒戒という戒めを説いた。
ブッダは、人々にできるだけ「怒りを離れるように」説いた。
その理由は、お酒も怒りも、度を過ぎれば理性を失うから。
理性を失った人間は、普段どれだけ穏やかそうな人であっても、言ってはいけないことを言ってはいけない場で言ったり、やってはいけないことを、やってはいけないタイミングでやってしまったりする。
だから、飲み会で身体にお酒が入って理性を失う人への対応と、普段の仕事で心に怒りが起こって理性を失う人への対応は似ている。
完璧でない人間が、完璧でない人間の間で仕事をしていれば、失敗したり、齟齬があったりして、苛立った人から怒りやクレームをぶつけられたりすることがある。
好き嫌いのある人間が、好き嫌いのある人間の間で仕事をしていれば、苦手な人、生理的に受け入れられない人とも関わらなければならないこともある。
そんな時、「どう自分を保ち、立ち居振る舞うか」。
それを飲みニケーションの場で、学ぶことができるのだ。
ブッダは「言葉巧み」であるよう努めていた
人間の苦悩の大半は、人間関係の悩みだ。それはいつの時代も変わらない。
だからこそ、人間関係を気持ちよく保つためには、コミュニケーション力が大切である。
ブッダは弟子達に、「言葉巧み」であることを奨励した。
ブッダ自身が、できるだけ分かりやすい言葉を使い、相手の能力や立場によって巧みに人々を教え導いた。
そんなブッダが説かれた、世俗の人々が守るべき十の戒め(十善戒)というものがある。そのうち、実に4つが言葉に関わるものだ。
一、嘘いつわりを言うなかれ(不妄語 ふもうご)
二、ふざけたことばを言うなかれ(不綺語 ふきご)
三、悪口を言うなかれ(不悪口 ふあっく)
四、人と人を仲たがいさせるようなことを言うなかれ(不両舌 ふりょうぜつ)
二、ふざけたことばを言うなかれ(不綺語 ふきご)
三、悪口を言うなかれ(不悪口 ふあっく)
四、人と人を仲たがいさせるようなことを言うなかれ(不両舌 ふりょうぜつ)
これらに気をつけて、人間関係を良好に保つ言葉遣いのことを、仏教では「正語」と呼ぶ。