「患者を取った、取られた」の恨み合いはない
とくに高血圧や糖尿病といった慢性疾患、さらに過去に心筋梗塞や脳梗塞、がんといった大きな疾患の既往歴を持つ人の場合、その患者さんの背景も把握しないまま、現在の処方をただ漫然と継続することは極めて無責任な治療とならざるを得ないばかりか、危険さえ生じさせかねません。
私が患者さんによく言うのは、かかりつけ医を変えるのは、恋愛のふったふられたとはまったく違うということです。「患者を取った、取られた」などと医療機関どうしでの恨み合いなどはありません。
そういう意味のない気遣いよりも桁違いに重要なのは、患者さんが診療情報とともに移動することなのです。私たち医師はその重要性を熟知しているので、患者さんが転医を希望された場合には、なんら拒むことなく診療情報提供書を転医先に書くわけです。かかりつけ医を変えたい場合は、ぜひこのことを思い出してください。