細かく正直に言わないと、軽く評価されてしまう

介護認定にかんする詳細はここでは説明しきれませんが、これらの調査と意見書を踏まえて、まず一次審査でコンピュータ判定がおこなわれ、その後、二次判定において、専門家らによる「介護認定審査会」のもと要支援、要介護のレベルが決定されます。つまり介護保険制度のサービスを受けるにあたっては、この認定結果を左右する認定調査と主治医意見書が非常に重要なのです。

その人の実情にあった介護認定がなされることで、居宅介護や施設介護、住宅改修さらに福祉用具の貸与や購入費の支給といった介護サービスを、一定の自己負担のもと受けることが可能になります。

ただこの認定調査の際に注意しなければならないのは、調査員を前にして取り繕わないようにすることです。身体機能や認知機能の低下を初対面の人に知られたくない、言うのは恥ずかしいという気持ちは理解できます。しかし「とくになにも困っていません」「なんでも自分でできます」などと言ってしまうと、実情よりも軽く評価されてしまい、必要かつ十分なサービスが受けられなくなる可能性があります。

自治体の介護認定は厳しくなっている

主治医意見書を記載してくれる医師には、ふだん当事者が困っていることだけでなく、介護している家族が何に困っているのかも伝えましょう。家族が腰痛や持病などで十分な介護がおこなえず、重い負担を感じているのであれば、その具体的な事がらをしっかり伝えて記載してもらうことも重要です。

要介護度は、「介護にかかる手間」を評価するものと言えるので、当事者の重症度のみならず主介護者の介護力も、認定の際に重要なファクターとなり得るからです。

介護需要の増加にともない自治体の財政を圧迫する要介護者の数を増やさないようにする動きが、この要介護認定にも及んでいます。主治医意見書と大きな齟齬そごのある過度な訴えや虚偽の演技は問題ですが、認定調査の際には、どんなに些細なことでも「困っていること」「できないこと」を具体的に、一つでも多く挙げることをおすすめします。それが、より当事者の実情に見合ったサービスを組み立てていくことに繋がるからです。

要介護度は、非該当(自立)、そして介護までは必要ないが要介護状態にならないための支援が必要なレベルと判断される「要支援」が1~2、そしてなんらかの介護が必要な状態である「要介護」が1~5という8段階に分けられ、それぞれ数字の大きい方が、より重い判定となります(図表1)。