選手の資産管理は本来だれがやるのか
米国の銀行口座で、口座名義主が選んだ人間に付与できる「Check Writing Privileges」(日本でいう「振込代理権」)の送金上限は50万ドル(約7500万円)。水原氏はESPNのインタビューで、大谷同意のもと、数カ月にわたり8~9回の送金をしたと語っており、その合計額はほぼ合致する。なお、水原氏は後日、大谷は何も知らなかったとし「すべて自分の過失だ」と前言を撤回している。
こうなれば何が本当で、何が嘘なのかわからない。水原氏は米カリフォルニア大学リバーサイド校を卒業したとされるが、米メディアが大学側に確認したところ、在籍した事実はないという。「学歴詐称」疑惑も浮上し、SNS上では「今まで積み上げてきたものが、一瞬で崩れ去ってしまった感じ」「本当に残念」といった落胆の声が相次いでいる。
それでは本来、プロ野球選手の金銭面の管理などは、誰が行うのがベターなのか。もちろん本人が管理するに越したことはないが、多くは、一定の高額年俸に達した時点で、マネジメント会社や代理人と契約を結んだり、会社を設立したりして両親や妻を取締役とし、プレーのみに集中できる環境を整えるケースが多い。
大谷自身も一部報道では日本ハム時代に会社を設立。渡米時には代理人事務所「CAAスポーツ」のネズ・バレロ氏にチームとの契約・交渉を任せるなど、抜かりはなかったはずが……。
イチロー、松坂、田中…やはり妻の存在は大きい
やはり大きいのは妻の存在だ。イチロー、石井一久、松坂大輔、田中将大、菊池雄星……。今挙げた選手以外でも、多くの日本人選手が、MLBへ移籍する前に結婚し、妻とともに渡米している。特にイチローの資産は、妻の弓子さんが代表を務める資産管理会社が運用。エステ店経営と不動産投資を合わせて100億円以上を運用しているとされている。
大谷は独身のままメジャーへと移籍したため、側で安心して財布を預けられる人物が水原氏以外にいなかったのも、今回の騒動の発端といえる。
その大谷は2月に自身のインスタグラムで結婚を発表。3月20、21日に韓国・ソウルで行われたパドレスとの開幕カードに妻・真美子さんを帯同させ、本塁打こそでなかったものの、2戦で3安打2打点と気を吐いた。
ただ、違法賭博問題が露見した水原氏が21日に球団から解雇。突如として苦楽をともにした“相棒”を失う形となった。開幕カード後のオープン戦も含め、13打席連続無安打と心労も心配されたが、28日(日本時間29日)、カージナルスとの本拠地開幕戦で2安打を放ち、周囲を安心させた。
今後は、真美子さんの公私にわたる献身的なサポートが、「ショック」以上の衝撃を受けた大谷の支えとなる。