【本格修行編】修行僧と同等の体験ができる

本格修行編は、数時間や1日だけの坐禅体験ではなく、数日あるいは1週間程度の泊まり込みで坐禅修行などを行うものをピックアップした。実施している寺はある程度限られる。

基本は修行僧と同等の修行になるため、坐禅はもちろん、お勤めや作法に従った食事、さらに作務(掃除など)を体験することもできる。

ただし、その分、厳しい指導もありうると考えたほうがいい。それなりの覚悟がなければ、挫折することにもなりかねないので要注意。代わりに、終了したときの達成感は、初心者向けや中・上級者向けでは得られないものがある。

坐禅●大本山永平寺(曹洞宗・福井県永平寺町)

――巨樹に囲まれ修行僧と過ごす4日間コース

道元が曹洞宗の根本道場として建立した寺院で1244年(寛元2年)に創建された。広大な敷地は、10万坪におよび樹齢700年の杉の巨樹に囲まれ、敷地内には大小70棟あまりの伽が藍(らん)が立ち並ぶ。

古くから深山幽谷(しんざんゆうこく)の修行場として知られる。深山幽谷とは、人跡未踏のような奥深い自然の地のこと。現在でも全国から集まった雲水と呼ばれる修行僧が数多く永平寺で修行している。永平寺では本格修行体験にふさわしい3泊4日の体験修行が可能。雲水の日常生活に準じた修行をするので、ある程度の覚悟と経験がないと挫折する。

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坐禅●総本山比叡山延暦寺(天台宗・滋賀県大津市)

――比叡山で唯一一般に開放された修行道場

788年(延暦7年)、最澄によって開かれ、日本の国を鎮め護る寺として朝廷から大きな期待をされ、桓武天皇時代の年号「延暦」を寺の名称に賜った。

延暦寺西塔にある居士林(こじりん)は、比叡山の中で唯一、一般に開放された修行道場。坐禅・写経の体験から1泊、2泊の本格的な修行まである。

 

断食●大本山成田山新勝寺(真言宗・千葉県成田市)

――多数の著名人にも人気の断食参篭修行

不動明王信仰で知られる成田山の断食参篭(だんじきさんろう)修行は、多くの著名人も参加している。期間は参加者の希望に応じて2泊3日~6泊7日まで。不動の信念と心身の鍛錬を体得する。

坐禅●延暦寺会館(天台宗・滋賀県大津市)

――宿泊者などが参加できる修行体験

延暦寺会館で宿泊や食事を利用した人向けに修行体験を開催している。坐禅と写経があり、坐禅の参加費は1人10 50円(60分)。写経は指導付きで1人1575円(90分)。

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坐禅●総本山園城寺(天台寺門宗・滋賀県大津市)

――小止観を重んじた天台宗ならではの坐禅会を開催

園城寺は、天台寺門宗の総本山。天台の「小止観」を基本にした坐禅会を開催。止観は天台宗式の瞑想法で、世の中を正しく観察する智慧を体得するための修行法。

 

瞑想●大本山成田山新勝寺(真言宗・千葉県成田市)

――数息観で雑念を払い心を整える

真言密教の瞑想法「数息観」を体験できる。数息観は、呼吸にだけ専念することで、雑念を払い、全身の細胞から不浄の気を絞り出し、心を落ち着かせる修行法のひとつ。

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瞑想●総本山金剛峯寺(真言宗・和歌山県高野町)

――高野山に伝わる伝統的な修行方法を体感

「高野山総合修養講座」は、高野山に伝わる伝統的な修行方法が体感できるもの。真言密教の瞑想法である「阿字観」のほか、読経の実習もある。全6回のコース。

 

 

(向山 勇=文 Photolibrary、PIXTA=写真)
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