なぜあの立ち飲み屋の社長は高級外車に乗っているのか?

11月11日は何の日だかご存じでしょうか? 「ポッキー&プリッツの日」が有名ですが、実は「立ち飲みの日」でもあります。1111の形が人が集まって立ち飲みしている姿に似ていることからきているそうです。

ちなみに日本記念日協会によると11月11日は記念日が3番目に多い日(2023年8月時点で59件)で、「チンアナゴの日」「スティックパンの日」「うまい棒の日」など、棒状のもの、直線のものの記念日になっているそうです。少し前までは一番記念日が多い日だったそうですが、最近8月8日と10月10日の申請が相次ぎ、ナンバー1の座を奪われたもようです。

立ち飲み屋の歴史は古く、江戸時代から営まれていました。酒屋でお酒とつまみを購入し、店に併設された一角(カウンター)で立ったまま飲食していたことが起源とされています。酒屋の店頭で飲むことを「角打ち」と言いますが、店の一角で飲むことが言葉の所以です。

野毛の居酒屋
写真=iStock.com/JianGang Wang
※写真はイメージです

立ち飲み屋は、低価格で気軽にお酒を楽しむことができるため最近ではサラリーマンの憩いの場の一つになっています。お金も時間も節約志向の時代にはうってつけの業態とあって、以前と比べて店舗数も増加しています。

平野薫『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(ダイヤモンド社)
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私もせんべろ(「1000円でべろべろに酔っぱらえる」価格帯の酒場の俗称)の聖地である赤羽が帰宅途中にあるため、ついつい一杯と立ち寄り、その後何食わぬ顔で家族と夕飯を食べることがあります。

立ち飲み屋はドリンクが300~400円、フードも100~400円程度と普通の居酒屋と比べてそれぞれのメニューを2~3割安く提供しています。それ自体は財布に優しく利用者としてはありがたいのですが、メニューを安く提供し滞在時間も短いことから一人当たりの客単価はかなり低くなっています。「安く手軽に飲めるのは良いことだが、サービス精神が旺盛すぎてお店が潰れたらどうしよう」と不安になる方もいるかもしれません。

立ち飲み屋は原価率が高いのになぜ儲かるのか?

安心してください。あんなに安く提供している立ち飲み屋ですが、社長がニコニコしながら高級外車に乗るくらい儲かっている会社も多いのです。

確かに、それぞれのメニューの単価を安く設定している分、単品ごとの利益は少ないです。飲食店の原価率(販売単価に占める原価の割合)は一般的に30%程度といわれていますが、立ち飲み屋の場合、同じメニューでも2〜3割安いので原価率も高くなります。

えっ、全然儲かってないじゃん! と思われるかもしれませんが、普通の居酒屋と異なるのは一日当たりのお客さんの数です。

普通の居酒屋の場合、一度入店するとゆっくり席に腰を下ろして飲みますので一般的に2~3時間は滞在します。しかし立ち飲み屋の場合は、3時間も立ちっぱなしでは疲れるので、ある程度飲んだら早々に切り上げます。滞在時間は男性1時間、女性1時間半と言われています。