問題は「思わせよう」とすること

しかし、厳密に言うと、こういった欲求を持つことそのものは悪いことではありません。他者から承認されれば誰もが気持ちいい、嬉しいと感じるでしょう。自信がないとき、この「承認」が自分の自己肯定感を高める助けになり、勇気やモチベーションを与えてくれることがあります。

人間ですから、欲求は必ず存在します。欲求があるからこそ、人は成長できるのです。

では何が問題なのでしょうか。それは、「思わせよう」とすることです。

・尊敬させよう
・好きと思わせよう
・賢いと思わせよう
・才能があると思わせよう
・面白いと思わせよう
・信頼させよう
・わからせよう
・仕事ができると思わせよう
・人格者だと思わせよう
・誠実だと思わせよう
・人気があると思わせよう
・センスがいいと思わせよう
・気が利く人だと思わせよう
・人間的に器が大きいと思わせよう
・優しいと思わせよう
・思い通りに操ろう
・価値があると思わせよう

欲求を持つことそのものはいいのですが、その欲求を満たすための過度な行動で、相手が強要されている、支配されていると感じたり、意図的に利用されてると思えば、人に嫌われてしまいます。

人はコントロールされることに嫌悪感を抱く

ほのめかしたり、匂わせたりすることも人には不快に映る場合があるので気をつけましょう。

人はコントロールされることに非常に嫌悪感を感じます。

本来、あなたのことをどう思うかは、相手の「自由」です。にもかかわらず、無理に「思わせよう」とすることは、相手の決定権を奪うことになります。

そうして、相手の判断の自由を奪い、コントロールしようとするからこそ、過度に「思わせよう」とすることは印象を悪くします。それは、仕事の武勇伝を語りたがる人、過去の栄光を語る人などに多く見られます。

そういった人から、何か違和感を感じたことはありませんか? 「仕事ができる人」「すごい人」と「思わせよう」としているからかもしれません。

もし、あなたが好かれたいと思っているなら、あなたの願望を相手がどう捉えるかは相手に任せましょう。そのためには、自分の欲求に自覚的になることが大事です。

その欲求を満たそうとしている「自己中心のマインド」にも自覚的になる。それこそが、好かれるコミュニケーションのための第一歩です。

笑顔でプレゼンをする女性
写真=iStock.com/metamorworks
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