いまの環境が苦しい子に「越境」という進路選択もある

大学受験をゴールとする画一的な価値観。偏差値によって序列化された学校。人のつながりが希薄な都市部での暮らし。そのなかで閉塞へいそく感や生きづらさを感じている子どもは多い。

でも、少し視野を広げれば、日本各地にはまだ地域コミュニティが残っている土地がある。健斗くんのように、そこで自分らしさを取り戻せる子もいる。地域みらい留学には、都市で問題を抱える子どもを救う可能性がある。

ただ、必ずしも問題を抱えている子どものための制度というわけではなく、留学すればすべてが解決するわけでもない。なかには適応できずドロップアウトする生徒もいる。また、親としては「地方の公立校で過ごしたあと、大学進学は大丈夫なのか?」という点も気になるところだろう。

地域みらい留学には、中学時代から社会問題に関心を持ち、あえて地方へ行くことを選ぶ生徒もいる。そこでの活動経験を生かして、東京大学や慶應義塾大学など、日本のトップ大学に進む卒業生も現れているという。

次回は東京大学に合格した生徒のケースを紹介しながら、地域みらい留学の学びと進路について紹介する。

(第2回に続く)

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