■さらに15歳までに

高校に入って、そろそろ自分の進路を考え始める時期になれば、もう道路を渡るときに手をつないでやる必要はない。でもこれから厳しい世の中を渡っていくには、まだまだ親の手助けが必要なはずだ。

本誌が相談したのは認定ライフコーチのハンナ・キーリー。行動療法や神経科学の知識もあり、7児の母でもある彼女によれば、10代も半ばになったら、まず知らない人と話すスキルを身に付けたい。

「うちの子供たちがこの年齢にさしかかると、私は必ず、適切な状況なら知らない人とも積極的に話すよう勧めている」と、キーリーは言う。「生きていくには、ほかの人たちと交わる能力が必要だ。子供はたいてい、大人よりも気配を読める。だから危ない人には近づかない。でも誰かに道案内を頼むとか、図書館の司書に本を探してもらう場合には、こちらから声をかける必要がある。自分から会話を始めるすべを学べば、きっと大人の世界でも自信を持って生きていける」

親が目覚まし時計の代わりをするのも、この年齢になったらやめるべきだと彼女は言う。自分で自分を律することを、そろそろ学んでもらわないといけない。それが大人への第一歩だ。

「ティーンエージャーなら、自分の服の洗濯くらいはできてほしい。自立して生きていくには欠かせないことだから。簡単な料理を作り、食料品の買い出しをし、お金の管理をする能力。そういうのも15歳までには身に付けたい」

そして、インスタグラムなどのSNSとの付き合い方も大きな問題だ。ピュー・リサーチセンターが22年にアメリカの10代の若者1316人を対象に実施した調査では、回答者の半数以上(54%)が、SNSなしの生活は考えられないと答えていた。

この現状を踏まえ、キーリーは言う。世間の親たちは自分の子たちに、オンラインコンテンツの単なる「消費者」ではなく、「クリエーター」になるよう促すべきだ。そして誰かの作ったゲームで遊ぶだけでなく、「何かみんなの役に立ちそうなコンテンツを生み出すように仕向けるといい。ただし『ベッドでスマホは厳禁』といったルールを守らせることも忘れずに」。

この年頃になると、友達付き合いも何かと難しくなる。でも、まずは自分と違う考え方もリスペクトすることを学ぶべき。なぜって、どんなことにも表があれば裏がある。そういうものだから。

「ティーンの子たちには、自分が常に正しいわけじゃないってことを教えてほしい」と、キーリーは言う。「この世に完璧な人はいないし、誰にもその人なりの意見がある。だから他人に共感し、自分の知らない世界や考え方をきちんと理解しよう。そう教えてあげるのがベストだと思う」

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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