健康食品はあくまでも食品であり、医薬品ではない

アガリクスは姫マツタケともよばれる、マツタケとは異なるハラタケ属のマッシュルームに近い種類のキノコです。30年くらい前、クレスチンというがんに対する薬剤が認可されていましたが、これはカワラタケというサルノコシカケに近い種類のキノコの抽出物です。

この医薬品の主成分はβグルカンとよばれる多糖成分ですが、このβグルカンをカワラタケより多く含んでいるキノコがアガリクスです。これが、がんに有効だとする根拠ですが、医薬品になったクレスチンについて、安全性は高いものの、がん治療に対する有効性が低く、有用な抗がん剤の普及に伴い利用されなくなった歴史があります。つまり、実際のところアガリクスにはがんに対する有効性は低いといわざるを得ません。

今井伸二郎『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)
今井伸二郎『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)

事実、有効性、安全性に関する信頼度の高い研究報告はありません。ある動物実験においては過剰摂取した場合、逆に発がんを促進してしまったとする報告もあります。肝障害や肺炎を起こしたとする学会報告もあります。

イチョウ葉エキスはドイツでは医薬品として承認されています。しかしながら、日本で販売されている商品は粗悪品が多く、アレルギー誘因物質であるギンコール酸の含有量がドイツ基準の3200倍もの量の商品も確認されています。

ギンコール酸は銀杏の果肉に多く含まれており、皮膚に触れるとかぶれの原因になります。このように、健康食品には効果が弱いこと以外にも危険性もあることを知っていただきたいと思います。

【まとめ】
1 健康食品はあくまでも食品であり、医薬品ではない
2 効果に疑いがある、安全性に問題があると認定された成分に要注意
【関連記事】
【第1回】「トクホ」と「機能性表示食品」ではまるで違う…国のお墨付きがある「本当に効く健康食品」を見分ける方法
副作用はほぼないが効果も証明されていない…そんな「日本独自の薬」が50年以上販売され続けているワケ
薬を飲んだせいで認知症の症状が出てしまった…高齢者が避けるべき「認知症を誘発する薬」の名前
海外では「野菜から食べる」は推奨されていない…医師が解説「日本人が誤解しがちな"食事法のウソ"」
「ごはんにみそ汁、納豆、漬けものが体によい」は大間違い…日本人がもっと積極的に食べるべき"健康食材"