「人工甘味料を摂取するとがんになる」は間違い

そして、アスパルテームに関する2023年の見解の中身は、アスパルテームを「漬物」と同じ程度のリスクとしたということにすぎません。それは、4段階ある発がん性のうち下から2番目の「2B」に指定したということなのです。漬物以外では、わらびの摂取などと同レベルで、発がん性のもっとも高い「1」にはたばこやアルコールの摂取などが含まれます。

山田悟『糖質疲労』(サンマーク出版)
山田悟『糖質疲労』(サンマーク出版)

人工甘味料と人間のがんとの因果関係をはっきりと証明した論文はいまのところ存在せず、エビデンスはありません。「人工甘味料を摂取するとがんになるのでは?」と警戒する必要はないのです。

なお、現在、日本で広く普及している人工甘味料の1つに「エリスリトール」があります。果物の発酵食品から抽出されるなどした天然由来の甘味料で、炭水化物の一つ「糖アルコール」に分類されますが、カロリーはありません。

摂取しても小腸から吸収され、血中を経てそのまま尿で排せつされるためエネルギーにならず血糖値も上がりません。米国食品医薬品庁「FDA」と欧州の医薬品庁「EMA」がともに「上限値を設定する必要がない」としており、間違いなく安全な食品と言えます。

甘いものが食べたくなったら甘味料も一手

エリスリトール以外でよく使われる人工甘味料に「アスパルテーム」、「スクラロース」、そして天然甘味料の「ステビア」や「羅漢果エキス」があります。羅漢果も上限量は決められていませんが、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムなどには上限量が決められています。ただ、1日あたり缶ジュース15本分程度と普通の食生活では摂取しない量なので、普段使いするのであれば問題ありません。

日本でよく使用される人工甘味料の上限量は次のとおりです。上限量を摂取するのに必要なショートケーキの個数で示しておきますが、上限量を超えることがまず不可能だとご理解いただけるでしょう。

甘いものを食べたいときは、血糖値を上げない甘味料を楽しめばいいのです。人工甘味料なら、上限量を気にすることなく、思う存分楽しむことが可能です。

・アスパルテーム(甘さは砂糖の100~200倍とされる)……1日の許容摂取量/体重60kgの人でショートケーキ16個分
・アセスルファムカリウム(甘さは砂糖の約200倍とされる)……1日の許容摂取量/体重60kgの人でショートケーキ6個分
・スクラロース(甘さは砂糖の約600倍とされる)……1日の許容摂取量/体重60kgの人でショートケーキ18個分

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