※本稿は、アリ・ウィッテン、アレックス・リーフ『回復人 体中の細胞が疲れにつよくなる』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「酒は百薬の長」は大間違い
患者のメーガンとはアルコールの話をした。メーガンは大酒飲みではないが、週に2、3回、子どもたちが寝たあとにグラス1、2杯のお酒を飲むことがあった。
アルコールはたしかに緊張をほぐしてくれるが、睡眠にはあまりいい影響は及ぼさない。
急性の摂取でも慢性的な摂取でも、また「つきあいでの飲酒」も含めて、積み重なると(1日あたり2~7杯、ビールなら1杯355ミリリットル、ワインなら1杯148ミリリットル、蒸留酒なら1.5ショット、あるいはその組み合わせ)メラトニンが15%から40%減少し、さらに多量のアルコールを摂取すると睡眠を大幅に阻害する恐れがある。またアルコールは睡眠の質に重大な悪影響を与え、睡眠障害を引き起こす。
私はメーガンにアルコールをきっぱりやめるよう勧め、もしもそんな極端なことはできないなら、週1回、1種類、多くても2杯までにすることを提案した。
あなたにも、同じことをおすすめする。睡眠と概日リズム調節障害に悩んでいるなら、アルコールは完全に断ったほうがいい。どうしても1杯飲みたいときは、夜でもなるべく早い時間に飲むようにしよう。
カフェイン摂取は“元気の前借り”に過ぎない
私たちの脳には、疲れを引き起こす「アデノシン」と呼ばれる分子がある。アデノシンは脳のなかで特定の(アデノシン専用の)受容体と結びついて眠りをもたらす信号を伝え、日中にアデノシンが受容体と結びつくほどに眠気信号がたまっていく。
だがカフェインを摂取すると、カフェインがアデノシンの受容体と結びつくため、アデノシンが受容体と結びついて信号を送り出す仕事が妨げられる。このため私たちは、目が覚めて気が立ち、エネルギーが補充されたように感じる。
つまりカフェインは、私たちが疲れたと感じるまでの時間を長引かせているのだ。カフェインが消失しないかぎり、アデノシンはふたたび受容体と結びつくようにならない。
状況によっては、カフェインは短時間でエネルギーを補充できる手段として役に立つ。たとえばワークアウトの最中に体力や持久力を向上させたいと思うならぴったりだ。