続けて、咄嗟に英語が出てこないときに、ピンチを切り抜けるフレーズも教えてくれた。
「会話の途中で言葉に詰まってしまい、うまくやり過ごしたいときは『Forget about it. Anyway, (話題)〜(いま話したこと忘れちゃって、それはそうと〜)』と伝えると、相手も察してくれてスムーズに次の話題に移れます。似たような表現だと『You know?』もあります。これは『あれだよ、あれ。ほら、えーっと』のように、なにか思い出せないときに、相手に同意を求めるような感じの表現になります」(ユーダイ)
相手との距離を縮めたいときは、ノリや勢いも大切になる。
「例えばサッカー観戦をしているときに、応援しているチームがチャンスになったら、『Come on!』ってワンフレーズを連発しますね。『キタキタ!』という意味で、周りと一緒に盛り上がれます。それから試合で勝ったときは『Let’s go!』って言うんです。学校の授業だと『Let’s go!』は、勧誘する掛け声として定着していますが、海外では『よっしゃ! 最高!』という意味になる。僕らもYouTubeの撮影がうまくいったときによく使っています。カジュアルな表現なのでビジネスシーンには相応しくないですが、知り合いや仲間内だったらノリが良い奴と思われて仲良くなれますよ」(マーク)
飛び道具として、あえて日本語をぶつけてみるのも反応が良いらしい。
「観光客など日本に興味を持っている人には、アニメの決め台詞を言うとウケます。ドラゴンボールの『Kamehameha(かめはめ波)』とか、『Otaku(オタク)』『Hentai(変態)』といった世界でも共通語になっている日本語を使うと、相手も心を開いてくれて打ち解けやすくなるでしょう。最近だとTikTokで『Yametekudasai(やめてください)』と、アニメの萌え声を真似する動画が流行ったりもしました。無理に英語を喋って迎合するよりも、外国人が理解できる程度の日本語を話すのはかなりポイントだと思います。英語のイントネーションで『Ohayogozaimasu(おはようございます)』などと挨拶するだけでも反応してくれますね」
知っておきたいシンプルで柔らかい言い回し
冒頭で挙げた「Hello」のほかにも、教科書に載っていても場合によっては適さない表現がある。
「返答を求められたときに『No.』と答えると、相手からしたら全否定されたように聞こえ、傷つけて不機嫌にさせてしまう危険性も。そこで『No, thank you(いいえ、大丈夫です)』とか、『It’s not my style(私の好みではないかな)』と言い回しを和らげたり、『I think that〜(私は〜だと思うよ)』とオブラートに包んだりするのを忘れないようにしましょう。同じように『I want to〜(〜したい)』は少し幼稚な言い方なので『Would you mind〜?(〜してもいいですか)』と柔らかく。『I don’t know』はぶっきらぼうなので『I’m not sure.(よくわからない)』に。『You should〜』は命令に聞こえてしまうので『If you can〜(できれば〜してほしい)』『Please〜(〜してもらえないですか)』などとワンクッション置くのがベター。『can』や『should』など助動詞が出てきたら、主語と助動詞の間に『maybe』『probably』などの副詞を挟むのもコツです」(マーク)
基本的に動詞を一語単体で用いると、上から目線の感じが出てしまうのだ。
「僕は動画内で、『Pardon?』とか『What?』と聞き返すフレーズを乱用するのですが、関係性ができていない人に使うと『馬鹿にしているのか』と思われてしまうんです。丁寧にお願いするなら『I beg your pardon』と言うのが無難です」(ユーダイ)
最後に、使うとよりネーティブ感が増す言い回しをいくつか紹介する。
「まず基本的な『Do you like〜?』ですが、イギリスでは『Do you fancy〜?』という表現があるんです。ニュアンスとしては『〜するのはどうですか、〜いかがですか?』と、一気に上品で大人っぽい雰囲気が出ます。同じように『Thank you very much』を『I appreciate it.』と言い換えると、『感謝しております』と格式高いニュアンスに。返答の際に頻出する『You’re welcome.』も、『My pleasure.』と言い換えることで『お役に立てて光栄です』と丁寧な表現になります。それから、リアクションとして『You did it?』はオススメですね。『マジで⁉ すげーじゃん!』のような相手をほめる言葉で、『Really?』よりも気持ちが乗っているように聞こえます。あと細かいですが、食事のシーンで『Yummy(おいしい)』と言うのはおすすめしません。和訳すると『おいちい』に近い赤ちゃん言葉なので(笑)。『Delicious』『Tasty』といった表現を用いましょう」(マーク)
上記に登場したフレーズの中には、聞き慣れない表現もあれど、すべて中学英語レベルでカバーできる表現だ。あえて難しい表現をせずに、丁寧でシンプルな言い回しを意識しつつ、ジェスチャーやユーモアなどで補えば、十分ネーティブとの英会話を堪能できそうだ。