万年与党の自民党、万年野党の社会党による「自社体制」を作り出した中選挙区制に逆戻りするのが良いとは思わない。政権交代が起こりやすくする二大政党政治のダイナミズムを生かしつつ、野党分断工作による「自民一強・野党多弱」が続く閉塞状況を打破するひとつの方策として、衆院は完全な小選挙区制(比例制度を廃止)とし、参院は完全な比例代表制とする極めてシンプルな選挙制度を私は提案したい。

現在は衆院選も参院選も、政治家個人が競う選挙区と政党が競う比例代表を組み合わせる複雑な制度になっており、衆参それぞれの役割がぼやけている。

選挙ポスター掲示板
写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです

衆院は政権交代を起こりやすくする二大政党政治を徹底させるため小選挙区一本とする代わりに、参院は二大政党政治の暴走と少数意見の切り捨てを防ぐため比例代表一本とすれば、衆院で巨大与党が誕生しても参院で一定のブレーキはかけられる。

二大政党が交互に政権を担うことによる政治の緊張感と、幅広い声を受け止めて合意形成を図る政治の協調性の双方を衆参でバランスよく実現できるのではないだろうか。

「自民一強・野党多弱」の政治がダラダラと続く

選挙制度改革には時間がかかる。現制度で当選を果たした国会議員たちは自らの議席を守るため与野党を超えて選挙制度改革には後ろ向きになりがちだ。世論が高まらない限り、選挙制度改革は動かない。

だが今の制度を放置したままでは「自民一強・野党多弱」の政治がダラダラと続き、閉塞感を打破できず、カリスマ政治家の誕生を待望する風潮が広がるばかりだ。選挙制度改革こそ、政界の新陳代謝を進める王道である。

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