白藤氏は、海外で長年働いてきたビジネスマンが口にするのが語学の重要性だという。
「現地の人との仕事で信頼関係をつくるのは言葉です。ですから海外赴任では言語能力は必須。仕事の実力があっても語学ができないと、日本にいるときよりも仕事のレベルが数段落ちて苦しむことになります」(白藤氏)
白藤氏によれば800点前後からが仕事で英語を使えるレベル。600点では英語で電話ができる程度で、相手の言うことがなんとか理解できるのが760点。言いたいことを安定して言えるのが800点からだが、アンケート結果からは470~725点で海外に出る人が多いようだ。
積極的なグローバル人材の育成を打ち出しているのが神戸製鋼所だ。永良哉人事労政部長はTOEICについて、こう語る。
「TOEICは730点を基準にしています。全総合職・管理職で730点以上が400人程度で、860点以上は100人強(※雑誌掲載当時)。10年後に730点以上の社員数を倍の800人、860点以上の人数もさらに増やすのが目標です」
神戸製鋼には英語教師の社員がいる。神戸や東京であれば、この英語教師のレッスンを受けることができ、それ以外の支店でも英語教師を派遣してもらえて社内で講義を受けられる。
自社の社員教師の講義では、教師が業務内容や社内の雰囲気をわかっているため実用的な英語が身につく、という。
海外での年収2000万円が帰国すると半額に
神戸製鋼は5~10年後に売上高を現在の約2倍にする計画で、増加する予定の売上高の大半が海外案件だ。そのためにはグローバル人材を育成する必要がある。
「4000人の管理職・総合職のうち海外勤務経験者は400人程度(※雑誌掲載当時)。この400人を10年間で800人に増やす予定。20代後半から30代前半の若手社員を選抜して、順次海外に送る予定です」(永良氏)
数だけではインパクトはないが中身は思い切ったものだ。