「特撮チャンネル世界一」はブラジル人

特撮ヒーローの中心が日本であることに疑いはない。しかしユーチューバーによる人気ナンバーワンの特撮ヒーロー専門番組が、どこから発信されているかご存じだろうか?

新旧の特撮ヒーロー作品を自宅から紹介するダニーロ・モードロさん
©TokuDoc
新旧の特撮ヒーロー作品を自宅から紹介するダニーロ・モードロさん

今年1月に開設10周年を迎えた「特ドッキ(TokuDoc)」は現在チャンネル登録者数が20万超えと、他のユーチューブ特撮ヒーロー番組をはるかにしのいでいる。

不定期で週に1、2本ほど動画をアップしてきたのはマドリードの教育機関「イノベーション研究センター(CEI)」でグラフィック・デザインを教えるブラジル人ダニーロ・モードロさん(43)だ。

「スペインに移住してから番組を始めました。あいにくここでは日本製特撮ヒーローの認知度が低いので、もっぱらブラジルの熱い同志に向けてポルトガル語で番組を発信しています」とモードロさん。ワンオペによる収録は特撮のフィギュアに囲まれたマドリードの自宅の一室で行われている。

「フィギュアは全部で300個ぐらいあるでしょうか。その約半分はフォロワーたちがブラジルの私書箱に送ってくれたものです」

学校の話題は「チェンジマン」「ジャスピオン」で持ち切り

「僕が8歳だった1988年にブラジルの地上波でジャスピオンとチェンジマンの放送が同時に始まったのですが、当時学校ではその話題で持ち切りでした。その後90年代半ばまで続いた特撮ヒーローの大ブームはブラジルテレビ史上で一時代を築いたと言っていいでしょう」

それでも「特ドッキ」が懐古主義に陥ることはない。昨年日本で上映された映画『シン・仮面ライダー』や今年3月放送開始予定の『爆上戦隊ブンブンジャー』など最新作についての解説動画も随時公開している。

「ブラジルでは80、90年代に特撮テレビドラマの虜になった親と一緒に見て特撮テレビドラマが好きになる子供もいます。今の子供は好きなものを簡単にインターネットで見られるので、古いものばかりじゃない特撮ヒーローの魅力を伝えています」