『ハリー・ポッター』シリーズの人気に衰えがみられない。映画第1作公開から20年がたつのに、なぜ愛され続けているのか。日本大学芸術学部の鳥山正晴教授は「現実世界と魔法世界の境界をあいまいにしたことで、読者がいつまでも楽しめる作品になっている」という――。
2023年6月16日、東京のテーマパーク「ワーナー・ブラザース・スタジオ・ツアー東京-メイキング・オブ・ハリー・ポッター」近くの練馬駅にて、ハリー・ポッターのキャラクターが描かれた列車。
写真=AFP/時事通信フォト
2023年6月16日、東京のテーマパーク「ワーナー・ブラザース・スタジオ・ツアー東京-メイキング・オブ・ハリー・ポッター」近くの練馬駅にて、ハリー・ポッターのキャラクターが描かれた列車。

『ファンタスティック・ビースト』も大人気

ハリー・ポッター』が増殖し続けている。

昨年6月にとしまえん跡地に「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開園し話題になった。西武池袋駅には9と4分の3(らしき)番線が設置され、ハリーとロンとハーマイオニーが大きく描かれた電車がひっきりなしに走っている。

『ハリー・ポッター』の増殖はそれ以前から始まっていた。『ハリー・ポッター』のこれまでを確認すると、まず、J・K・ローリング原作の『ハリー・ポッター』シリーズは1997年〜2007年に7巻が発売され、映画は2001年〜2011年に8作品(最終巻の映画化『ハリー・ポッターと死の秘宝』がpart1part2になっている)。

2016年に『ハリー・ポッター』の世界から70年前を描いた『ファンタスティック・ビースト』が作られ現在まで3作品ある(5作品で完結するようである)。この作品は原作本が先ではなく、J・K・ローリング自らシナリオを執筆した映画『ハリー・ポッター』の純粋なスピンオフ作品として作られている。

そして、2016年にロンドンで初演された舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』があり、日本では2020年から今も上演されている。

どうしてこれほど人気があるのか

主立ったものは以上だが、その他にもゲームが何種類かある。人気があるのはアクションゲームの『ホグワーツ・レガシー』、また『ハリー・ポッター』の中のスポーツ「クィディッチ」のゲームもある。ちなみに、「クィディッチ」は実際のスポーツとしてアレンジされ世界大会も行われた。

ざっとこんなところが『ハリー・ポッター』の増殖具合だが、どうしてこれほど人気があるのか。同時期に公開された『ロード・オブ・ザ・リング』は、J・R・R・トールキン原作の小説が続けて映画化されることはあったが、これほどまでの広がりは見せていない。

私の専門が映画であり、『ハリー・ポッター』が広がりを見せているのは、映画のヒットが背景であることは間違いないので、映画『ハリー・ポッター』シリーズを軸に特徴を考えてみたい。