大卒者の入社3年以内の離職率は大企業を含め3割前後。入社直後に転職サイトに登録する新人は13年前の約30倍だという。人事ジャーナリストの溝上憲文さんは「離職の最大の引き金は上司との人間関係。壁にぶつかってもアドバイスやサポートをもらえないと訴える新人が多い」という――。
マスクを取るスーツ姿の男性
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2023年4月に転職サイト登録した新社会人13年前の約30倍

新入社員の4月入社を控え、戦々恐々としている企業人事部も多いのではないだろうか。採用が早期化し、長期に囲い込み、やっと入社したと思ったら、1年も経たずに退職する若者が常態化している。

新規大卒者の入社3年以内の離職率は32.3%。前年より0.8ポイント上回った(厚生労働省「新規学卒者就職者の離職状況」2023年10月発表、2020年3月卒業者)。

企業規模では100~499人が32.9%、500~999人が30.7%。1000人以上の大企業でも26.1%とあまり大差はない。

最近は入社直後に転職サイトに登録する新人も少なくないといわれる。転職サービス「doda」に2023年4月に登録した新社会人は、調査を開始した2011年の約30倍に達している。

こうした傾向について都内の大学でキャリア教育を教える講師は「一つの会社にお世話になるというほど企業に対する学生の信頼度が低くなっている。ここに入れば一生安泰だというのは幻想にすぎず、長く勤めたくても、そういう時代ではないでしょ、という感覚が若者の中で大きくなっている」と語る。

早期離職の原因はさまざまだろうが、エン・ジャパンの「就業前後のギャップ調査」(2023年8月30日)によると、就業前後にギャップを感じた経験のある人は79%。

そのうちギャップが原因で仕事を辞めたことがある人は55%もいる。退職の原因となったギャップで多かったのは「職場の雰囲気」(29%)と「仕事の内容」(24%)となっている。とくに社会人未経験の新入社員の場合はギャップに対しては敏感だ。

ラーニングイノベーション総合研究所が今年4月に入社する24年卒の「内定者意識調査(2023年度想定する入社の壁編)2024年1月29日」によると、社会人になることに「不安、心配な気持ち」と答えた学生が78.7%と、約8割もいる。

具体的な不安では「自分の能力で仕事についていけるか」(65.8%)が最も多く、続いて「しっかりと成果を出せるか」(55.1%)、「先輩・同期とうまくやっていけるか」(46.2%)、「上司とうまくやっていけるか」(41.9%)の順となっている。

多くの不安を抱えているが、中でも離職の引き金になりやすいのが上司など職場の人間関係だ。