再構築される帰属コミュニティ

こうした流れにより「朝企業に働きに行き、夜家族の待つ自宅に帰る」というモデルも標準的なものではなくなる。そもそも高齢化社会になると会社に行かない人の比率が大きくなるという要素もあるわけだが、就業人口が減少していく中で、高齢者や女性の活用も含め働き方も多様化し、兼業、副業は当たり前、ひとつの企業コミュニティに帰属していくという人の比率は小さくなっていくだろう。自宅も前述のように大家族コミュニティか、そうでない単身者の受け皿としてのシェアハウス型の共同生活体は確実に増加することが予想される。

日々助け合いながら一緒に住む人達を家族と呼ぶのであれば、家族の意味やあり方も大きく変わる。川崎にシングルマザーのためのシェアハウスがある。シングルマザーが共同で生活することで子育ての負担を減らし、苦労も共有しながら自立して生きていくことを目指している。もちろん子供は共同体みんなで育てていくという意識も醸成されるのだろう。

シングルマザーのためのシェアハウス
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就業人口が限られていく中で女性を活用していくためには人生設計の呪縛である、結婚と子育ての選択肢を多様にし、自由にすることも避けられない。最終的には日本もフランス婚のように婚姻制度そのもののあり方も変化せざるをえないだろう。社会リソースをシェアするのが自然な流れであれば夫や妻をシェアする多夫多妻のような考え方もまったくの妄想とは言えない時代に突入しているのかも知れない。

逆に言えばこれだけ、これまでのライフスタイルが変わるということは、既存企業では想像できない、課題解決型のサービスやプロダクトをマーケットの変化に応じて投入することでの市場開拓やシェアの争奪の可能性が大きいということであり、内需縮小と嘆くだけでないチャンスがあると考えることもできる。