「ほしい暮らし」を見つけるための声かけ
「あなたは、新たな家でどんな暮らしがしたいですか?」。こう聞かれたら、なんと答えるでしょうか。「広いリビングでゆっくり過ごせて……」など、大抵の人は、漠然としたイメージしか持っていないと思います。家づくりにあたっては、「ほしい暮らし」をできる限り具体的にしておくのが、とても大切です。
まずは、今までの自分や、これまでの暮らしを見つめ直し、そこから自らが望む暮らしはなんなのかを、紐解いていくといいでしょう。
私が施主の方と初めて会った際、必ずする質問があります。まずは家族構成と、持ち込み家財。家のボリュームを決める最低限の情報を知るためです。
また、ライフスタイルや趣味、仕事について、今の住まいのいいところと悪いところなども尋ねます。こうして施主の方について知り、そのうえでどんな方向性で最初の提案をするかを練っていきます。
参考までに、私が設計者として知っておきたい質問をまとめたので、自分の暮らしを省みる材料にしてみてください。
理想の家づくりで施主が建築家に伝えるべきこと
私が担当した施主の方々の中には、間取りを自分で描いてきて「この通りにつくってください」という人がいました。間取りの設計は、構造、性能、予算、法規まであらゆる要素が複雑に絡んでくるため、素人ではできません。
施主がすべきなのは、「自分の求める暮らし」と「優先順位」をできるだけ具体的に設計者に伝えることです。注文住宅の設計は、自らのウェブサイトをつくるのに似ています。
テンプレートを使わずにサイトを立ち上げるなら、プログラミングの知識が不可欠であり、それがないなら専門家に発注することになります。そして依頼の際には、情報発信、集客、物販といった目的を伝え、そのための構造やデザインの提案を受けるはずです。
注文住宅も同じで、間取りを含めた設計を提案するのはプロの仕事、目的とする理想の暮らしを提示するのが施主の仕事と、役割分担があるのです。
家づくりは、チーム戦。任せるべき部分はプロに一任し、自分の役目を果たすのに集中しましょう。