しかし、これらの時間も視点を切り替えることで、自分も他人も満足する「理想」の状態へ導くことが可能です。たとえば自分が集中して作業しているときに部下から話しかけられると「ストレス」になりますが、自分視点で「いまは内的リズムが情熱的だから、人と話したほうが自分にとっても効率がいい」ととらえなおせば、時間を奪われた感覚が軽減されて自分満足も高まっていきます。

ファンクショナル・アプローチ研究所
代表取締役社長 横田尚哉氏

また自分1人が楽しい「迷惑」仕事も、顧客視点でとらえなおしてメリットを提案することができれば、周囲の応援が得られて「理想」の状態に近づきます。こうして「自分→他人」「他人→自分」と視点を自在に動かせば、時間の価値は高まり、時間ドロボーに見える仕事をやるべき仕事へと変えていくことができるのです。

強く意識したいのは、自分から他人への視点切り替えです。普通は人生のステージが上がったり、経験が増えるにつれて、自分から仲間や家族、会社や地域、そして社会全体へと視野が広がり、公共的な視点を持つようになるものです。

仕事や社会生活の経験が少ないと視野が狭くなり、「自分の利益にならないのに、なぜこの仕事をやらされるのか」という思いにとらわれやすくなります。目の前の仕事は、社会的にどのような意義があるのか。その意義づけを習慣づけることによって、時間の価値は大いに高まるはずです。

ファンクショナル・アプローチ研究所 代表取締役社長
横田尚哉
(よこた・ひさや)
改善士。世界最大企業であるGE(ゼネラル・エレクトリック)の価値工学に基づく分析手法を取り入れて、総額1兆円の公共事業改善に乗り出し、10年間でコスト縮減総額2000億円を実現させた。「30年後の子供たちのために、輝く未来を遺したい」という信念のもと、そのノウハウを潔く公開するスタイルは各種メディアの注目の的となっている。全国から取材や講演依頼が殺到し、コンサルティングサービスは約6カ月待ち。また、「形にとらわれるな、本質をとらえろ」というメッセージから生み出されるダイナミックな問題解決の手法は、業務改善にも功を奏することから「チームデザイン」の手法としても注目が高まっている。
(村上 敬=構成 葛西亜理沙=撮影 ファンクショナル・アプローチ研究所=図版提供)
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