「元気か!」とお尻をつかむ

ファミリーマート社長 
上田準二氏

部下の1人がそんなふうに上司とうまくやりとりしていると、それを見た同僚も「なるほど、ああいうふうに対処すればいいのか」とわかってきて、職場全体の雰囲気が良くなります。

一方、上司にしてみれば部下は自分の大事な戦力です。それを「ダメ部下だ」と決めつけているようではいけません。「あいつはダメ」と切り捨ててしまうと、その部下に対しては出すべき指示も出さなくなり、仕事の分担からも外すことになってしまいます。それでは組織として戦力ダウンです。

高度成長期のように「黙ってオレについてこい」などと言っていたら、誰もついてこないのが今の時代です。上司は自分の方針についてきちんと説明し、部下の話をしっかり聞いてあげることが大切です。そして部下が最大の力を発揮できるように環境やツールを整え、上司自ら雰囲気を盛り上げて、全員のモチベーションを上げていかなくてはなりません。

私の場合、部下には常に声をかけるようにしていました。肩を落として歩いていたら、廊下やトイレですれ違うときに「元気か!」と声をかけ、同時にふざけてお尻をつかんでやったりしたものです。相手はびっくりしますが、それだけで不思議と距離が近くなります。スキンシップも大切なコミュニケーションの手段なのです。

会社とは同じ船に乗って、同じ方向を目指している仲間の集まりであり、その意味ではまさに「ファミリー」です。だとしたら、相手を否定するよりも、できるだけ職場を盛り上げて楽しくやらねば損だと思います。

ファミリーマート社長 上田準二
1946年、秋田県生まれ。県立横手高校から山形大学文理学部に進み、卒業後の70年、伊藤忠商事に入社。畜産部長、プリマハム取締役などを経て、2000年に顧問としてファミリーマートへ。02年より現職。
(構成=久保田正志 撮影=的野弘路)
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