スタンフォード大学が調査した「IQと成功の関係」
【弟子】要はIQが高いと頭が良いってことですよね。知能が高いのなら、さすがに人生に成功しやすいのでは?
【猫師匠】「人生の成功」の定義があいまいだから、話をわかりやすくするために、「保有する資産」か「社会的な地位」で考えていこうか。
ざっくり、この2つを手にした人は、人生に成功したものと考えても、大きな問題はないだろう。人生においては個人の幸福も大事だけど、計測が難しいからね。
【弟子】そうですね。資産と地位で判断すれば、少なくとも特定の世界で評価されていると言えそうです。
【猫師匠】IQと人生の成功については、1920年代に、スタンフォード大学の心理学者ルイス・ターマンが大規模な調査をしている。ターマンはアメリカの学校から1528人の優秀な生徒を集め、全員を35年にわたって追いかけて、どんな人物になるのかを確かめたんだ(※1)。
※1 心理学の分野で最も古く、最も長く続いている縦断研究のひとつである。才能ある子どもの成人期までの発達と特徴を調べたもので、このデータからは、5冊の本や数十本の論文が生まれている。
生徒たちのIQは135から200のあいだで、170を超える子どもも77人いた。
「IQが高い子ども」はほとんど成功しなかった
【弟子】一般人のIQは90から100ぐらいだから、かなりの頭脳集団ですね。これは期待できそうですが……。
【猫師匠】残念ながら、研究に参加した子どもたちで、大人になってからも天才的な才能を示す者はいなかった。
なかには教授や医師、経営者になった者もいたが、全体的には地味な職業についた者が多く、研究チームも「知能と成功は相関関係にはない。この研究対象からはノーベル賞受賞者も、ピューリッツァー賞の受賞者も、ピカソのようなアートの成功者も生まれなかった」と報告している。